ロタウイルス胃腸炎の世界的な季節性パターンを明らかにするには?

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2012/12/17

 

 米国疾病管理予防センター(CDC)のManish M. Patel氏らは、ロタウイルス胃腸炎発生の世界的な季節性パターンの分布図作成を目的に、ワクチンが広く導入される以前の発生に関する報告論文をレビューした。しかし、統一的な説明が可能である季節性のパターンは認められず、国の所得レベルが多少ではあるが、他の因子よりも季節性疾患であることを示す予測因子であることが明らかになったという。Pediatric Infectious Disease Journalオンライン版2012年11月28日号の掲載報告。

 研究グループは、1995年以降に発表された下痢症状を伴う小児におけるロタウイルス検出を報告した研究をレビューした。

 季節性有病率と局地性(地理的、国の発展度、緯度別にみたロタウイルス陽性下痢症状の発生割合を月平均でプロットしたもの)との関連性を評価した。線形回帰分析にてロタウイルスの季節性を指し示す可能性のある変数を同定した。

 主な結果は以下のとおり。

・世界6大地域の状況を示す合計99件の研究報告をレビューした。
・国の所得レベルが低レベルまたは低~中レベルの国では、高レベルの国よりも、ロタウイルス胃腸炎が年間を通して発生しているとのエビデンスが顕著であった。
・所得が高レベルの国では、ロタウイルス胃腸炎は季節性である可能性が高かった。
・国の発展レベルは、地理的な位置や気候よりも、季節性の強さを示す有意な予測因子であった(p=0.001)。
・一方で、地理的、緯度、開発程度が同程度の国でも、ロタウイルス胃腸炎について明確に異なる季節性パターンがみられ、ロタウイルス胃腸炎の季節性のバリエーションについて、単一の統一された見解を示すことのできる可能性は低いと思われた。
・以上の結果を踏まえて著者は、「さらに、異なる設定のもと、季節性パターンにおけるロタウイルスワクチン接種の効果について研究を進めることで、ロタウイルス胃腸炎の世界的な季節性を指し示す因子の解明に寄与する可能性がある」と結論した。

(ケアネット)