変形性膝関節症(OA)患者が心に描く疾患描写(mental representations)は、国際生活機能分類(International Classification of Functioning Disability and Health:ICF)の機能・障害・健康モデルで用いられる用語と整合性が取れており、ICFの3つの構成概念(障害度、活動度、社会参加)がOA患者にとって重要であることが明らかにされた。英国・アバディーン大学のBeth Pollard氏らが、両者の一致について検証した研究の結果、報告した。Disability and Rehabilitation誌オンライン版2012年11月21日号の掲載報告。
本研究は、OA患者が心に描く疾患描写とICFモデルとの整合性について調べることを目的とし、人工関節置換術を受けることになっているOA患者202例を対象に郵送アンケートにて行われた。
アンケートでは被験者に、人工関節置換術に期待していることを尋ね、心に描く疾患描写(心象)を測った。2人の専門家が、それらを判定して、主要なICFの構成概念[障害(I)、活動性の制限(A)、社会参加への制限(P)]の該当項目に分類した。
主な結果は以下のとおり。
・2人の専門家による判定の一致度は高かった。また、各ICF構成概念に分類された被験者の心的表象数は同程度であった。
・手術待機中の患者の心象と、主なICFモデルのバイオメディカルな路線とは一致していた(IからA、次いでPへなど)。
・そのことは、OA患者は暗黙のうちに、バイオメディカルな障害発生モデルを適用していることを示唆した。そのモデルは、治療や介入が、障害から回復するためだけでなく、活動性の制限、さらには間接的に社会参加への制限に効果をもたらす可能性があるというものであった。
・一方で、その方法は、ICFモデルの3つの構成概念の発生要因の関連を調べる新たな道筋を提供するものでもあった。
(ケアネット)