中年期の広範囲の慢性疼痛リスク、少年期の知能指数1SD低下につき1.26倍上昇

提供元:ケアネット

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公開日:2012/12/20

 

 精神的因子は、慢性疼痛に関わる因子の一つと考えられていることから、英国・サウサンプトン大学のCatharine R. Gale氏らは、中年期の慢性疼痛について、少年期の知能との関連について調査した。その結果、少年期知能指数が低値になるほど中年期の慢性疼痛リスクは上昇すること、そのリスク上昇は、BMIが高いほど、また社会経済的階層が低くなるほど有意であることが明らかになったという。Pain誌2012年12月号の掲載報告。

 研究グループは、1958年英国生まれの人を登録した全国小児発達サーベイから、男女6,902人について、少年期の知能と、成人期の慢性疼痛リスクとの関連について調査した。

 被験者は、11歳時に一般知能指数試験を受け、45歳時点で、広範囲の慢性疼痛について、米国リウマチ学会診断基準(ACR)に基づく評価が行われた。ログ二項式回帰を用いて、性および潜在的な交絡因子、媒介因子を補正しリスク比(RR)と95%信頼区間(CI)を算出し評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・ACR基準に基づく広範囲の慢性疼痛リスクは、知能指数が低下するほど段階的に上昇した(線形傾向p<0.0001)。
・性補正後解析において、知能指数1SD低下に対する慢性疼痛のRRは1.26(95%CI:1.17~1.35)であった。
・多変量後方段階的回帰解析において、少年期知能は、社会階級、教育達成レベル、BMI、喫煙状態、精神的ストレスとともに、慢性疼痛の独立した予測因子であり続けた(RR:1.10、95%CI:1.01~1.19)。
・中年期の広範囲の慢性疼痛リスクに対する少年期知能の低さの影響は、BMIが高くなるほど、また社会経済的位置付けがより低くなるほど有意であった。
・少年期に高い知能を有する男女はともに、成人期に慢性疼痛を報告する頻度は低いようである。

(ケアネット)