統合失調症の重症度・社会性の低下は、海馬体積の減少と関連 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/01/22 統合失調症において海馬体積の減少は高い頻度で報告されているが、疾患への影響(とくに臨床面、心理社会面にどれほど影響するのか)については依然として十分に明らかとなっていなかった。イタリア・ウーディネ大学のP. Brambilla氏らは、統合失調症患者における症状重症度と社会性の低下は、海馬体積の減少と関連している可能性があることを、三次元マッピング研究の結果より、報告した。British Journal of Psychiatry誌2013年1月号の掲載報告。 研究グループは海馬の神経解剖学的差異を、3次元(3D)コンピュータ画像解析を用いて調べることを目的とした。高解像度MRIと表面モデリングによる3Dマッピングにて、成人の統合失調症患者群と健常者対照群の海馬プロファイルの違いを調べた。海馬の3Dパラメトリック・メッシュモデルを手動トレースにて作成し、回帰モデルにてラジアル距離にみる診断尺度を、また色分布図を作成し関連プロファイルを評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・被験者は、統合失調症群67例、健常者対照群72例であった。 ・海馬のラジアル距離について、両群間の差異は検出できなかった。 ・しかし統合失調症群において、両側性にみられた体積減少が症状重症度(期間、陽性または陰性の症状について)の増大、および社会性の低下(教育レベル、QOL、健康状態)と関連していることが示された(Bonferroni補正後)。 ・以上の結果から、統合失調症における症状重症度および社会性の低下が、海馬体積の減少と関連している可能性が認められた。 ・画像診断尺度はアウトカム不良の構造的サインとして、サブグループ(海馬体積の減少を食い止める特異的治療を要する可能性がある患者)を特定するのに役立つ可能性がある。 関連医療ニュース ・グルタミン酸ドパミンD3受容体遮断による統合失調症の新たな創薬の可能性 ・統合失調症患者におけるフィルター障害のメカニズムを解明 ・検証!統合失調症患者の体重増加と遺伝子との関連 (ケアネット) 原著論文はこちら Brambilla P et al. Br J Psychiatry. 2013 Jan; 202:50-5. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 家庭内空気汚染の疾病負担、1990~2021年の状況は?/Lancet(2025/03/28) 局所進行上咽頭がん、化学放射線療法後のcamrelizumabが有効/JAMA(2025/03/28) SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬は女性と高齢者に対しても有効か?(解説:住谷哲氏)(2025/03/28) CKDの貧血治療、ダプロデュスタットvs.ダルベポエチン アルファ~メタ解析(2025/03/28) 化学療法誘発性末梢神経障害の克服に向けた包括的マネジメントの最前線/日本臨床腫瘍学会(2025/03/28) Lp(a)測定の国際標準化、新薬登場までに解決か/日本動脈硬化学会(2025/03/28) 不妊治療中、男性はコーヒーの飲み過ぎに注意(2025/03/28) 新型コロナ入院患者、退院後も2年以上にわたり死亡リスクは高い(2025/03/28) 各非定型抗精神病薬の抗精神病薬関連便秘リスク〜米国FDA有害事象報告(2025/03/28)