バレンタインデーの前に知っておきたい「チョコレートが体に良い5つの理由」

提供元:ケアネット

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公開日:2013/02/13

 

 日本のチョコレートの年間消費量の2割程度がこの日に消費されるというバレンタインデー。近年、チョコレートが健康に良いことを裏付ける研究結果が発表されているため、バレンタインデーのこの機会に少しまとめてみた。研究者らは、チョコレートのカカオに多く含まれるフラバノールによる抗酸化、抗凝固、抗炎症作用などが心血管疾患に良い効果をもたらしているのではないかと考えているようだ。

1. 毎日少量のダークチョコレート摂取で血圧が低下1)
 ダークチョコレートによる降圧効果が小規模な無作為化比較試験により示された(2007年JAMA誌掲載)。この試験では高血圧前症または高血圧症(第I度)44例に、ダークチョコレートを毎日6.3g(30kcal)、もしくはホワイトチョコレートを摂取させた。その結果、18週間で、ダークチョコレート摂取群の収縮期血圧が平均2.9mmHg、拡張期血圧も1.9mmHg下がった(p<0.001)。体重、血漿中の脂質、ブドウ糖、8-isoprostaneのレベルに変化はなかった。高血圧有病率は86%から68%まで減少した。一方、ホワイトチョコレート摂取群では血圧、血漿中マーカーとも変化は見られなかった。

2. チョコレートの消費量が多い人ほど心血管疾患リスクが低い2)
 チョコレート消費量と心血管疾患リスクに関するメタアナリシスの結果が2011年のBMJ誌に発表されている。この研究では2010年10月までに発表された文献のデータベースを検索し、選択基準を満たした7試験(11万4,009人)をメタアナリシスの対象としている。
この解析の結果、チョコレートの消費量が最も多い群は最も少ない群に比べて、全心血管疾患リスクが37%低下(相対リスク:0.63、95%信頼区間:0.44~0.90)し、脳卒中リスクが29%低下した(同:0.71、0.52~0.98)。しかし、心不全の抑制効果はみられなかった(相対リスク:0.95、95%信頼区間:0.61~1.48)。

3. チョコレートを多く食べる男性で脳卒中リスクが17%低下3)
 スウェーデンのコホート研究によると、チョコレートの消費量が多い男性では脳卒中のリスクが17%低かったという(2012年Neurology誌掲載)。この研究では男性のチョコレート消費量と脳卒中リスクについて49~75歳のスウェーデン人男性3万7,103人を約10年間追跡した。その結果、チョコレートの消費量が最も多いグループ(中央値62.9g/週)は、最も少ないグループ(中央値0g/週)と比べて脳卒中のリスクが17%低下していた。

 脳卒中既往例では再発率が19%低下
 上記のスウェーデンのコホート研究を含む、5件の研究より脳卒中既往例に絞り込んだメタ解析を実施したところ、チョコレートの摂取量が最も多い被験者の脳卒中リスクはまったく食べない被験者より19%低かった。この解析結果より、著者はチョコレート摂取量50g/週につき脳卒中リスクが約14%低下したと試算している。

4. チョコレート摂取頻度高いほどBMI低い4)
 チョコレートを頻繁に摂取する人ほどBMIが低い傾向にあることが2012年のArch Intern Med誌に発表されている。研究者らは心血管疾患、糖尿病、高LDL-C血症の既往のない男女(20-85歳)を対象に、チョコレートの摂取頻度とBMIとの関連を検討。週当たりのチョコレート摂取回数とBMIなどのデータが得られた972例を解析対象とした。その結果、年齢・性調整後、チョコレート摂取頻度が高い者ほどBMIが低い傾向にあった。

5. チョコレートを多く食べる男性で糖尿病リスクが35%低下5)
 岐阜県高山市におけるコホート研究によると、チョコレートの摂取頻度が1週間に1回以上の男性は糖尿病発症リスクが35%低下していた(ハザード比0.65、95%信頼区間0.43~0.97)。女性では糖尿病発症リスクの有意な低下は認められなかった(同0.73、0.48~1.13)。この結果は2010年のBritish Journal of Nutrition誌に発表されている。

[番外編] チョコレートをたくさん食べる国ほどノーベル賞の受賞者も多い?
 米国コロンビア大学のMesserli氏は、日本を含む世界22ヵ国の国民1人当たりのチョコレート消費量と、人口1,000万人当たりのノーベル賞受賞者数の相関関係を解析し、その結果が2012年のNEJM誌に発表されている。この解析結果によると、チョコレートの消費量とノーベル賞受賞者の数の間には、有意で強力な線形相関が認められた(相関係数r=0.791、p<0.0001)。チョコレート摂取量とノーベル賞受賞者の数がいずれも最高だったのはスイス。日本はチョコレートの消費量、ノーベル賞の受賞者数のいずれも22ヵ国中、中国に続いて低かった。
Messerli FH. N Engl J Med. 2012; 367: 1562-1564.

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(ケアネット 藤原健次)