SSRI+非定型抗精神病薬の併用、抗うつ作用増強の可能性が示唆 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/02/27 非定型抗精神病薬をSSRIとともに用いることは、抗うつ作用を増強する適切な治療戦略であることを支持する知見が示された。フランス・パリ第11大学のG. Quesseveur氏らによる研究。セロトニン2A受容体(5-HT2AR)が選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)の活性に及ぼす影響のメカニズムについて、遺伝子多型モデルマウスを用いて検討した結果、SSRIであるエスシタロプラムの抗うつ作用が、5-HT2AR阻害に伴うノルアドレナリン作動性神経の伝達促進を介して増強する可能性が示唆されたという。Experimental Brain Research誌オンライン版2013年2月15日号の掲載報告。 5-HT2ARがSSRIsの活性を低下させるというエビデンスが示唆されており、実際、うつ病患者の抗うつ薬に対する個々の反応性に影響を及ぼすとされる遺伝因子の1つとして、HTR2A遺伝子とSSRIsの反応性との関連が認められている。しかし、遺伝薬理学的研究では、5-HT2ARの発現または機能に及ぼすHTR2A遺伝子多型の影響は検討されておらず、この受容体の正確な役割については依然として議論が続いている。本研究では、マウスのセロトニン作動性神経系およびSSRIであるエスシタロプラムの抗うつ作用に及ぼす5-HT2ARの影響について、5-HT2ARアゴニストであるDOIおよび5-HT2ARアンタゴニストであるMDL100907を用いて検討を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・5-HT2ARアゴニストであるDOIは、5-HT2AR+/+麻酔下マウスの背側縫線核(DR)における5-HTニューロンの発火率を低下させた。この抑制効果は、5-HT2CR-/-でも同様にみられたが、5-HT2AR-/-変異体ではまったく観察されなかった。 ・DOIの5-HTニューロン活性抑制効果は、神経毒物質DSP4に誘発されるノルアドレナリン作動性ニューロンの欠失により減弱した。 ・5-HT2ARR+/+マウスにおいて、5-HT2ARアンタゴニストであるMDL100907による5-HT2ARの不活性化は、エスシタロプラムによるDRの5-HTニューロン活性低下を逆戻りさせた。 ・注目すべきことに、マイクロダイアリシス法を用いた検討で、覚醒下5-HT2AR+/+マウスにおいて、エスシタロプラム単回注射は皮質細胞外5-HTを増加させたが、ノルエピネフリンレベルは増加させなかった。 ・MDL100907添加は5-HT神経伝達を促進しなかったものの、エスシタロプラムによる皮質ノルエピネフリンの放出を増加させ、その結果として抗うつ様作用を示すことが強制水泳試験により確認された。 ・以上の結果から、5-HT2ARの阻害は、脳内ノルエピネフリンによる神経伝達の促進を介してエスシタロプラムの抗うつ作用を増強する可能性が示唆される。 関連医療ニュース ・新規抗うつ薬「ノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬」その実力とは? ・抗うつ薬を使いこなす! 種類、性、年齢を考慮 ・難治性双極性障害患者への併用療法は? (ケアネット) 原著論文はこちら Quesseveur G et al. Exp Brain Res. 2013 Feb 15. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 複雑CAD併存の重症AS、FFRガイド下PCI+TAVI vs.SAVR+CABG/Lancet(2024/12/20) 慢性心血管系薬のアドヒアランス不良、リマインドメッセージでは改善せず/JAMA(2024/12/20) “Real-world”での高齢者に対するRSVワクチンの効果(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)(2024/12/20) 切除不能肝細胞がん、アテゾ+ベバがTACEの代替となる可能性/ESMO Asia2024(2024/12/20) EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法のアジア人データ(FLAURA2)/ESMO Asia2024(2024/12/20) 進行・再発子宮体がんの新たな治療選択肢/AZ(2024/12/20) 導入療法後に病勢進行のないHR+/HER2+転移乳がん1次治療、パルボシクリブ追加でPFS改善(PATINA)/SABCS2024(2024/12/20) 統合失調症発症後20年間における抗精神病薬使用の変化(2024/12/20) SGLT2阻害薬はがん発症を減らすか~日本の大規模疫学データ(2024/12/20)