タバコの煙に対する感受性と歯周病に特徴的な関係はみられないことが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のJan Bergstrom氏らにより報告された。しかしながら、喫煙者において、歯周病の進行と肺が破壊される病理的プロセスには共変動がみられたとも言及している。これまで、タバコに対する感受性が高いことで発症するCOPD(慢性閉塞性肺疾患)と歯周病の関係についてはあまり検討されていなかった。
本研究は、喫煙をする28人のCOPD罹患群(GOLDのガイドラインでII 期またはIII期)、COPDに罹患していない喫煙群29人、非喫煙群23人の3つの群を対象に行われた。喫煙者のグループは、タバコの煙への累積曝露量でマッチされた。評価は胸部X線とCT、一般歯科臨床検査、肺機能測定と健康関連QOL(SF-36)で行われた。
主な結果は、以下のとおり。
・肺機能検査において、COPDに罹患していない喫煙者と非喫煙者とでは、一酸化炭素拡散能のみに有意差が認められた(p<0.001)。
・胸部X線とCTにより評価された、気管支壁の厚さと肺気腫のスコアは他の2つのグループと比べてCOPD罹患群で高かった。
・喫煙をするCOPD罹患者と非喫煙者について、歯垢、歯肉出血、歯周ポケットの深さ、残存歯数を比較すると、すべてにおいて有意差が認められた(それぞれ、p<0.01、p<0.001、p<0.0001、p<0.001)。
・喫煙をするCOPD罹患者とCOPDに罹患していない喫煙者では、歯周ポケットの深さ、残存歯でのみ有意差が認められた(それぞれ、p<0.05)。
・SF-36の身体的側面のQOLサマリースコア(PCS)は2つのグループと比べてCOPD群で有意に低かった(p<0.001)。
・SF-36の精神的側面のQOLサマリースコア(MCS)は非喫煙群と比べ、喫煙をする2つのグル―プで有意に低かった(p<0.001)。
(ケアネット 鎌滝 真次)