新規の2型糖尿病治療薬として開発段階にあるグルコキナーゼ活性剤 「AZD1656」 の血糖降下作用に関するデータが発表された。本研究は日本国内で行われた無作為化二重盲検、プラセボ対照比較試験。東京駅センタービルクリニックの清末 有宏氏らにより、Diabetes, Obesity and Metabolism誌オンライン版2013年3月22日号で報告された。
【グルコキナーゼ活性剤について】
グルコキナーゼは、解糖系の最初のステップに関与する酵素であり、肝臓と膵β細胞に発現してグルコース恒常性を保つ役割を担う。グルコキナーゼ活性剤は、このグルコキナーゼを活性化させ、肝臓での糖取り込みを促進し、膵β細胞でのインスリン分泌を促進することで血糖降下作用を示すと期待され、開発が進んでいる。
対象患者(n = 224)は、AZD1656(40~200mg、20~140mg、10~80 mg)またはプラセボの4群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は4ヵ月後におけるベースラインからのHbA1c変化量(プラセボ補正後)。空腹時血糖値や安全面への影響も評価した。
主な結果は以下のとおり。
・治療2ヵ月時点におけるベースラインからのHbA1c変化量は、プラセボ群で0.1%、AZD1656群で0.3~0.8%の減少が認められた。
・治療4ヵ月時点におけるベースラインからのHbA1c変化量は、AZD1656(40~200mg)群は、プラセボ群と比較して有意差は認められなかった(p=0.30、平均値:-0.22 [プラセボ補正後95%CI:-0.65~0.20] )
・治療4ヵ月時点においてHbA1c ≤ 7%を達成した患者の割合は、プラセボ群と比較して、AZD1656投与群で高かったが、レスポンダーレートは低かった。
・低血糖発現は、AZD1656投与群で1症例であった。
(ケアネット 佐藤寿美)