高齢者において、糖尿病が軽度認知障害(MCI)発症リスクを上昇させることが米国メイヨークリニックのRosebud O. Roberts氏らの研究によって明らかになった。また、本研究により対象者の性別やMCIサブタイプ、障害領域の数によってその相関の強さが異なることも示された。Alzheimer's & dementia誌オンライン版2013年4月3日付の報告。
2型糖尿病が、アルツハイマー病に移行する可能性がある健忘型MCIや、血管障害由来の非健忘型MCIの発症リスクを上昇させる可能性があることは知られている。本試験では、高齢者を対象に、2型糖尿病とMCIとの関連について、MCIサブタイプ(健忘型、非健忘型)や、性別による関連も含めて検証した。
この前向き集団研究は、ミネソタ州オルムステッド郡在住の70歳以上の高齢者1,450人を対象に行われた。ベースライン時とその後15ヵ月ごとに、認知機能評価に用いられる神経心理学的検査、神経学的検査、臨床認知症評価法(CDRスケール)を実施し、コンセンサス会議の診断基準によってMCIや認知症の評価を行った。2型糖尿病の既往は、ベースライン時の医療記録から確認した。
主な結果は以下のとおり。
・経過観察期間中央値は4年で、1,450人中348人がMCIを発症した。
・2型糖尿病とMCI発症に相関がみられた(ハザード比:1.39、95%信頼区間:1.08~1.79)。
・2型糖尿病とMCIサブタイプ別による関連をみたところ、健忘型MCI(1.58、1.17~2.15)、複数領域・健忘型MCI(1.58、1.01~2.47)、単一領域・健忘型MCI(1.49、1.09~2.05)、非健忘型MCI(1.37、0.84~2.24)であった。
・とくに強い相関がみられたのは、男性の複数領域・健忘型MCI(2.42、1.31~4.48)、男性の複数領域・非健忘型MCI(2.11、0.70~6.33)、女性の単一領域・非健忘型MCI(2.32、1.04~5.20)であった。
(ケアネット 岸田有希子)