リナグリプチン(商品名:トラゼンタ)について、経口糖尿病治療薬(OAD)の追加療法としての長期的な安全性・有効性を検証するため、京都大学の稲垣暢也氏らは多施設オープンラベル並行群間試験を実施した。Diabetes, Obesity and Metabolism誌オンライン版2013年4月8日付の掲載報告。
本試験(52週間、多施設、オープンラベル、並行群間)の対象は、2型糖尿病および血糖コントロール不良の日本人患者618例。ビグアナイド系薬、グリニド系薬、グリタゾン系薬、SU薬、αグルコシダーゼ阻害薬(A-GI)といったOADによる標準治療に対するリナグリプチン追加療法を評価した。
試験開始から2週間後、SU群とA-GI群は追加療法としてリナグリプチン(1日1回5 mg)群またはメトホルミン(1日2~3回、最大2250 mg /日)群に無作為に振り分けられた。
他のOADを投与されている患者は、リナグリプチン追加療法(非無作為化)を施された。
主な結果は以下のとおり。
結果:
・全試験期間を通じて、標準治療にリナグリプチンを追加投与した患者(ベースラインHbA1c値7.86%~8.12%)では、HbA1c値は有意に減少した(-0.66%~-0.92%)。
・A-GIまたはSU に追加投与した場合、HbA1c値の減少はリナグリプチン群とメトホルミン群で大差なかった。
・有害事象はほとんどが軽度または中等度であり、その割合は全群間で近似していた。
・低血糖イベントはSU群を除きほとんど見られなかった。
・低血糖イベントの発生率は、追加療法にかかわらずA-GI群(リナグリプチン:1/61 vs メトホルミン:2/61)、およびSU群(17/124 vs 10/63)において、それぞれ近似していた。
・すべての低血糖イベントのうち26例(5.8%)が、リナグリプチン投与群(非無作為化)で報告された。
(ケアネット 有田 衣里)