アルツハイマー病、46.8%で不適切な薬剤が処方 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/05/09 フランス・トゥールーズ大学のFrancois Montastruc氏らは、アルツハイマー病(AD)患者における潜在的に不適切な医薬品(potentially inappropriate medication:PIM)の処方実態を調べた。その結果、AD患者の2人に1人がPIMを処方されていること、そのなかでも脳血管拡張薬の頻度が多いことを報告した。そのうえで著者は、「AD患者への処方に際し、疾患特性および処方薬の薬力学/薬物動態学的プロファイルが十分に考慮されていないことも示唆された」と結論している。これまで、AD患者におけるPIMの使用に関する研究はほとんどなかった。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2013年4月16日号の掲載報告。 本研究は、軽度~中等度のADと診断された地域住民における、PIM処方の頻度およびそれに関連する臨床的因子を明らかにすることを目的に実施した。解析対象としたのは、専門施設で治療を受けているフランス人のADコホートを対象とした4年間の多施設共同前向き試験「REAL.FR試験」に登録された患者データ。PIMについてはLaroche listで評価し、多変量ロジスティック解析により関連する因子を検討した。 主な結果は以下のとおり。 ・AD患者684例が試験に登録された。平均年齢は77.9 ±6.8歳、女性が486例(71.0%)であった。 ・Laroche listに基づくと、PIMが1回以上処方されていた患者の割合は46.8%(95%CI:43.0~50.5%)であった。 ・処方されていたPIMは脳血管拡張薬が最も多く、全処方の24.0%(95%CI:20.9~27.3%)を占めていた。次いで、アトロピン製剤(17.0%、95%CI:14.1~19.8%)、長時間作用型ベンゾジアゼピン系薬剤(8.5%、95%CI:6.4~10.6%)の順であった。 ・アトロピン製剤投与患者の16%にコリンエステラーゼ阻害薬の使用がみられた。 ・多変量解析の結果、女性(オッズ比[OR]:1.5、95%CI:1.1~2.2)と、多剤服用(5種類以上、OR: 3.6、95%CI:2.6~4.5)の2つのみがPIM処方と関連する因子であった。 関連医療ニュース ・抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か? ・日本人の認知症リスクに関連する食習慣とは? ・入院期間の長い認知症患者の特徴は?:大阪大学 (ケアネット) 原著論文はこちら Montastruc F et al. Eur J Clin Pharmacol. 2013 Apr 16. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ATTR型心アミロイドーシス、CRISPR-Cas9遺伝子編集療法が有望/NEJM(2024/12/23) 更年期のホルモン補充療法、心血管疾患のリスクは?/BMJ(2024/12/23) 温水洗浄便座を使用する?しない?その理由は/医師1,000人アンケート(2024/12/23) 38種類の抗うつ薬と自殺リスク、小児に対するブラックボックス警告はいまだに有効か(2024/12/23) 帯状疱疹ワクチン、65歳を対象に定期接種化を了承/厚労省(2024/12/23) TN乳がん術前化学療法への周術期アテゾリズマブ上乗せ、EFSを改善せず/SABCS2024(2024/12/23) 増える成人食物アレルギーと新規アレルゲン、「食べたい」に応えるために/日本アレルギー学会(2024/12/23) 「ストレス食い」の悪影響、ココアで軽減の可能性(2024/12/23)