統合失調症におけるワーキングメモリと視覚認知機能 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/06/06 オーストラリア・クイーンズランド大学のNatasha L. Matthews氏らは、統合失調症における視覚空間に関するメンタルイメージと、ワーキングメモリとの関連について調べる2つの実験を行った。その結果、統合失調症ではワーキングメモリの維持機能が障害されていても、メンタルイメージは増強しているエビデンスを認めたこと、しかしワーキングメモリ維持の要求が高まるとその増強は消失したことを報告した。著者は、今回みられた所見が新たな治療戦略に適用可能であると結論している。Cognitive Neuropsychiatry誌オンライン版2013年5月24日号の報告。 ワーキングメモリは、過去の知覚的経験の再現であるメンタルイメージと密接に関係している。統合失調症ではワーキングメモリの障害がその中心的特徴として確立されているが、一方でボディワークから、メンタルイメージの亢進が示唆されていた。その関連を明らかにするために研究グループは2つの実験を行った。実験1では、統合失調症患者(15例)と適合コホート(14例)に、メンタルイメージの産生と検査タスク、視覚空間遅延反応ワーキングメモリタスクを完了した。実験2では、統合失調症患者(16例)と適合コホート(16例)に、ワーキングメモリ維持要求を増大するために修正したメンタルイメージタスクの新規バージョンを完了した。 主な結果は以下のとおり。 ・実験1の結果、統合失調症患者におけるメンタルイメージのパフォーマンス増強が示された。適合コホート群よりも精度を維持しつつ反応速度が速かった。 ・しかしながら、統合失調症におけるメンタルイメージの増強には、遅延反応タスクによって評価されるワーキングメモリの障害が付随していた。 ・実験2の結果、ワーキングメモリ維持の負荷が増すにつれ、統合失調症における優れたメンタルイメージのパフォーマンスは示されなくなった。 関連医療ニュース 認知機能への影響は抗精神病薬間で差があるか? ベンゾジアゼピン系薬物による認知障害、α1GABAA受容体活性が関与の可能性 早期統合失調症、認知機能にGABA作動性抑制が関連 (ケアネット) 原著論文はこちら Matthews NL et al. Cogn Neuropsychiatry. 2013 May 24. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 新PCIデバイスbioadaptor、アウトカム改善の可能性/Lancet(2024/11/13) 市中肺炎の入院患者、経口抗菌薬単独での有効性(2024/11/13) 本邦初、がん患者の「気持ちのつらさ」のガイドライン/日本肺癌学会(2024/11/13) 乾癬への生物学的製剤、真菌感染症のリスクは?(2024/11/13) MCIの認知機能改善に、最適な運動とその量は?~ネットワークメタ解析(2024/11/13) 尿路上皮がん1次治療の更新は30年ぶり、ペムブロリズマブ+EV併用療法とは/MSD(2024/11/13) 米国成人の10人に6人は炎症誘発性の食生活(2024/11/13) 急性白血病の発症時点でさまざまな眼科所見が観察される(2024/11/13)