関節リウマチ(RA)患者において、歩行パターンの乱れは深刻な問題である。本研究はRA患者の歩行パターン測定におけるスマートフォンの有用性を検討するために、京都大学の山田 実氏らにより行われた。本研究は、歩行パターンの計測にスマートフォンを用いた初の研究となる。Rheumatology international誌2012年12月号の掲載報告。
スマートフォン歩容分析アプリにより39例の RA患者(平均年齢65.9±10.0歳、罹病期間11.9±9.4歳)と同齢の対照群(平均年齢69.1±5.8歳)の歩容(歩いているときの身体運動の様子)を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・RA群は、対照群よりも歩行速度、AC(歩行バランス)、およびCV(歩行変動性)において有意に低いスコアを示した。
・両群間のPF(歩行周期)に有意差はなかった。
・PFは歩行速度と軽度の相関があった(p<0.05)。
・ACは疾患活動性スコア(DAS28)、健康評価質問票(mHAQ)、歩行能力、および歩行速度と中程度の相関があった(p<0.05)。
・CVはDAS、歩行能力、および歩行速度(p<0.05)と中程度の相関があった。
・以上の結果より、スマートフォンで記録したいくつかのパラメーターは、RA患者の歩容を評価するのに適したツールとなることが示唆された。
(ケアネット 有田 衣里)