現代生活では夜間光曝露が増加しているが、夜間光曝露はサーカディアンリズム(生体の概日リズム)の変調に関連している。しかし、家庭における夜間光曝露がうつ病と関連しているかどうかは不明である。今回、奈良県立医科大学地域健康医学講座の大林 賢史氏らが高齢者を対象とした研究の横断解析を行った結果、一般の高齢者において自宅の夜間光曝露が抑うつ症状に有意に関連することが示唆され、寝室を夜間暗く保つことによってうつ病のリスクが低下する可能性が示された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2013年7月12日号に報告。
著者らは、高齢者516人(平均年齢72.8歳)において、夜間尿中メラトニン排泄量と夜間の寝室および日中光の曝露照度を測定した。抑うつ症状は老年期うつ尺度を用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・夜間曝露照度中央値は0.8ルクスであった(四分位範囲:0.2~3.3)。
・日中光曝露、不眠、高血圧、睡眠時間、身体活動を調整した多変量ロジスティック回帰モデルにより、うつ群(n=101)は非うつ群(n=415)と比べて、夜間光曝露(平均照度5ルクス以上)の割合が有意に高いことが認められた(調整オッズ比[OR]:1.89、95%信頼区間[CI]:1.10~3.25、p=0.02)。
・同様に、夜間光曝露のもう1つのパラメータ(10ルクス以上の時間:30分以上)の割合も、非うつ群に比べてうつ群で有意に高いことが認められた(調整OR:1.71、95%CI:1.01~2.89、p=0.046)。
・一方、尿中メラトニン排泄量と抑うつ症状の間に有意な関連は認められなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)