てんかん児は本当に外傷が多いのか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/10/01 小児てんかんを有した子どもは外傷が多いというエビデンスは、頭部外傷を除けば存在しないことが示された。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のChristine B. Baca氏らが、地域住民コホートから特定した、患児とその健常な兄弟姉妹を対照群とした後ろ向きケースコントール評価にて報告した。Journal of Pediatrics誌オンライン版2013年9月18日号の掲載報告。 研究グループは住民ベースコホートから、9歳以前に小児てんかんと診断された青少年501例(平均年齢15.3歳)とその兄弟姉妹について、過去の損傷経験について調べ評価した。501例のうち133例は複雑部分発作例(神経学的検査結果が異常でIQが<80)、368例は単純部分発作例(神経学的検査結果は正常でIQが≧80)であった。また、単純部分発作例について適合した兄弟姉妹対照群は210例であった。被験者について、これまでに「治療を要した重大で深刻な外傷」の経験(てんかんの診断前または以後で)があるかを調べ、もしある場合は、要した治療の詳細も調べた。 主な結果は以下のとおり。 ・小児てんかん歴のある青少年の約半数(49.1%)が、外傷経験があると報告した。そのうち8.9%は手術/ 入院を要した。また、17.1%が発作に関連した外傷を有した。 ・発作に関連した外傷は、単純部分発作例のほうが複雑部分発作例よりも頻度が少なかった(13.6%対27.4%、p<0.01)。 ・外傷のタイプ別にみると、骨折25.2%(126例)、頭部外傷24.4%(122例)、その他外傷10.2%(51例)、歯の外傷8.4%(42例)、熱傷/ やけど8%(40例)であった。 ・単純部分発作例について兄弟姉妹対照群と比較した検討では、経験したすべての外傷(全体またはタイプ別)について発生は同程度であった。ただし、頭部外傷についてのみ患児群のほうがより発生が多くみられた(30.0%対19.5%、p<0.02)。 ・上記の結果を踏まえて、著者は「頭部外傷を除いて、てんかんを有した代表的小児コホートにおける外傷リスクが、適合させた兄弟姉妹対照と比較して増大するというエビデンスはみつからなかった。この所見は、患児が重篤な症例でなければ、あるいは外傷への安全策が広く用いられていれば、外傷リスクは増大しないことを示唆するものといえるだろう」とまとめている。 関連医療ニュース てんかん患者、脳内ネットワークの一端が明らかに 「抗てんかん薬による自殺リスク」どう対応すべきか? 小児外傷後てんかんの予防にレベチラセタムは有用 (ケアネット) 原著論文はこちら Baca CB et al. J Pediatr. 2013 Sep 18. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 2型DMの血糖コントロールなど、予測モデルによる治療最適化で改善/Lancet(2025/03/10) 切除不能進行胃がん1次治療、sugemalimab追加でOS・PFS改善(GEMSTONE-303)/JAMA(2025/03/10) TTF-1陰性Non-Sq NSCLCに対するアテゾリズマブ+カルボプラチン+nab-パクリタキセル(LOGIK2102)/日本臨床腫瘍学会(2025/03/10) 統合失調症の認知機能改善に対するメトホルミンの有用性(2025/03/10) EBウイルスが腎移植後のリンパ増殖性疾患に関与(2025/03/10) うつ病歴は慢性疾患の発症を早める(2025/03/10) 症状を電子的に報告するシステムががん患者の症状管理やQOLを改善(2025/03/10) 「善玉」コレステロールは緑内障リスクを高める?(2025/03/10)