果物や野菜の摂取量と乳がんリスクの関連~日本人女性での前向き研究

提供元:ケアネット

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公開日:2013/10/16

 

 果物や野菜の乳がんリスクへの影響について、日本人での疫学データは少ない。東京保健医療大学の鈴木 礼子氏らは、日本人女性4万7,289人における果物や野菜の摂取量と乳がん罹患リスクの関連を評価した。その結果、果物・野菜全体の摂取量と乳がんリスクとの間に全体的な関連はないが、閉経前女性においてアブラナ科の野菜の摂取量が乳がんリスク低下と有意に関連していたことを報告した。Cancer Causes Control誌オンライン版2013年10月4日号に掲載。

 本研究は人口ベースの前向きコホート研究で、食事評価は食物摂取頻度調査票を用いた。相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)をCox比例ハザード回帰モデルにより算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・平均追跡期間10.2年の間に、452人が新たに乳がんと診断された。
・女性全体および閉経後女性において、果物・野菜全体、アブラナ科の野菜、緑色葉野菜、黄色野菜、トマト加工品の摂取量について、乳がんリスクとの関連は認められなかった。
・アブラナ科の野菜の摂取量は、閉経前女性の乳がんリスクの有意な減少と関連し(多変量RR Q4vs.Q1:0.64、95%CI:0.38~1.10、傾向のp=0.046)、エストロゲン受容体陽性およびプロゲステロン受容体陽性の乳がんとわずかな逆相関が認められた(100g増加あたりのRR=0.64、95%CI:0.41~1.00)。
・女性全体および閉経前女性において、果物全体および柑橘類の摂取量と乳がんリスクには正の相関が認められた。しかし、果物におけるこれらの相関はビタミンC摂取量の調整により減少した。

(ケアネット 金沢 浩子)