高齢の胃がん患者に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の医療経済的な効果についての情報は、現在ほとんどない。産業医科大学の村田 篤彦氏らは、全国の管理データベースを用いて、高齢患者におけるESDの医療経済的な効果を調査した。その結果、胃がんでESDを受けた高齢患者では、非高齢患者と比べて、ESD関連合併症の発症率に差は認められなかったが、在院日数と入院中の医療費の有意な増加が示された。Journal of Digestive Diseases誌オンライン版2013年10月16日版に掲載。
著者らは、2009~2011年に国内の867病院において、ESDを受けた胃がん患者2万7,385例のデータを管理データベースから収集した。年齢に応じて高齢患者(80歳以上、n=5,525)と非高齢患者(80歳未満、n=21,860)の2群に分類し、ESD関連の合併症、在院日数(リスクで調整)、入院中の医療費を比較した。
主な結果は以下のとおり。
・高齢患者と非高齢患者でESD関連合併症の発症率に有意差は認められなかった(4.3%vs 3.9%、p=0.152)が、平均在院期間および入院中の平均医療費に有意な差がみられた(p<0.001)。
・高齢患者では、在院日数が有意に長く、入院中の医療費が有意に高いことが重回帰分析により示された。
・高齢患者における在院日数の非標準化係数は、2.71日(95%CI:2.59~2.84、p<0.001)、入院中の医療費は952.1 USドル(95%CI:847.7~1056.5、p<0.001)であった。
(ケアネット 金沢 浩子)