ハンガリー・デブレツェン大学のG. Mocsai氏らは、皮膚バリア機能と皮膚の炎症の重症度が関連していることを報告した。炎症が重症でフィラグリン(FLG)遺伝子変異と野生型アトピー性皮膚炎(AD)を有する患者では関連が弱まる可能性があり、FLG変異を有する患者のほうが、野生型AD患者よりもアレルギー感作のリスクが高い可能性があることが示唆されたという。British Journal of Dermatology誌オンライン版2013年11月20日号の掲載報告。
FLG欠乏がAD発症のリスク因子であることはよく知られている。また、FLGの減少は、ハプロ不全や重症炎症が起因する可能性があり、さらに重症炎症が後天性のFLG変異を生じる可能性がある。FLG変異は、ADのいくつかの臨床パラメーターまたは検査パラメーターと関連しているが、最近の報告でこれらの関連を否定するデータが報告されるようになっていた。
そこで研究グループは、臨床または生化学検査パラメーターとFLGハプロ不全との関連について調べるとともに、AD患者で重症炎症に起因する後天性FLG変異と、どのパラメーターが関連しているのかについて明らかにすることを目的に検討を行った。
まず、FLG変異の有無とSCORAD(SCORing Atopic Dermatitis)に基づく新たな分類を作成し、AD患者を(A)軽症~中等症-野生型AD、(B)重症-野生型AD、(C)重症-FLG変異の3つに層別化して、全群被験者の検査・臨床パラメーターの評価を行った。また、免疫組織化学的分析も行った。
主な結果は以下のとおり。
・(B)重症-野生型ADと、(C)重症-FLG変異の患者の重症度は、SCORADに基づき同等であった。
・これら2つの重症群は、皮膚バリアの特異的パラメーターに関しては有意差がみられなかった。
・一方で、(A)軽症~中等症-野生型ADの、皮膚バリア機能測定値は有意に良好であった。
・アレルギー感作の特異的パラメーターに関して、(B)群と、(C)群の患者で有意差は検出されなかった。
・上記の所見は、皮膚バリア機能は、皮膚炎の重症度と関連していることを示唆した。
・そして、皮膚の炎症が重症でFLG変異および野生型AD患者においては、皮膚バリア機能との関連は弱い可能性が示唆された。
・そのうえで、FLG変異の患者は、野生型AD患者と比べて、アレルギー感作のリスクが高い可能性も示唆された。
(ケアネット)