大豆は乳がんの発症・再発リスクを低下させるか

提供元:ケアネット

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公開日:2013/12/12

 

 大豆やアカツメクサ(red clover)のイソフラボンについて、そのエストロゲン活性と乳がんへの効果について議論されている。カナダ自然医療医学大学のHeidi Fritz氏らは、大豆とアカツメクサにおける、乳がん女性の更年期症状の改善効果と、乳がん発症または再発のリスクにおける影響に関する体系的レビューを行った。その結果、大豆摂取が乳がん発症率・再発率・死亡率の低下と関連する可能性や、ヒトにおいては大豆がエストロゲン作用を持たないことが示唆された。PLoS One誌2013年11月28日号に掲載。

 著者らは、乳がんおよび乳がんリスクのある患者における、大豆やアカツメクサのイソフラボンの安全性および有効性に関する介入試験や観察研究のデータについて、MEDLINE、Embase、コクランライブラリー、AMEDを最初から2013年3月まで検索した。4,179報のうち131報の論文(40の無作為化対照試験、11の非対照試験、80の観察研究)を組み込んだ。

 主な結果は以下のとおり。

・ほてりに対する大豆の効果が検討されている無作為化対照試験5報では、プラセボと比べ、有意な減少は示されなかった。
・長期観測データに基づくと、乳がん発症や再発に関して大豆が有害であるというエビデンスは乏しかった。
・日本の伝統的な食生活と一致する大豆摂取(毎日2~3serving、イソフラボン25~50mgを含む)は、乳がん発症および再発を防御するかもしれない。
・ヒトにおける試験では、大豆が循環するエストラジオールを増やさない、もしくはエストロゲン標的組織に影響しないことを示している。
・タモキシフェン服用中の女性における大豆摂取の前向き試験のデータでは、再発リスクの増加は示されなかった。
・アカツメクサでのエビデンスは限られているが、既存の研究では乳がん促進作用を有さないことを示唆している。

 著者らは、「有害性に関する明確なエビデンスはなく、高用量(100mg以上)のイソフラボンが乳がん患者に推奨される前に、安全性を確立するエビデンスが必要である」としている。

(ケアネット 金沢 浩子)