カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のJudit Takacs氏らは、内側型変形性膝関節症(膝OA)の高齢者において、内側コンパートメントにかかる荷重を減少するため、体幹を外側に傾ける歩行について検討を行った。その結果、通常の歩行姿勢時と比べエネルギー消費量、心拍数および主観的運動強度は増加した一方、膝の疼痛に差はないことが示された。結果を踏まえて著者は、「外側への体幹傾斜は、膝OA進行に重要な関節負荷の生体力学的尺度を減少させることがわかった。しかしながら、エネルギー消費が増加する恐れがあることを念頭において慎重に処方すべきであろう」とまとめている。Osteoarthritis and Cartilage誌2014年2月号(オンライン版2013年12月12日号)の掲載報告。
研究グループは、高齢患者12例を対象に、普通の姿勢または体幹を外側に最大10度傾けた姿勢で、任意に指定された順に15分間トレッドミル歩行を行わせ評価を行った。体幹の傾きはリアルタイムで被験者の前に表示された。
エネルギー消費[酸素摂取量(VO2)、絶対強度(METs)]、心拍数(HR)、体幹傾斜最大角度、膝痛および主観的運動強度を測定して検討した。
主な結果は以下のとおり。
・12例の被験者は、内側型膝OA高齢患者で、男性が5例、平均[SD]年齢は64.1[9.4]歳、BMI 28.3[4.9]であった。
・膝痛(p=0.22)を除くすべての項目の測定値が、体幹傾斜歩行群で有意に増加した(p<0.008)。
・VO2は平均9.5%(95%信頼区間[CI]:4.2~14.7)、HRは平均5.3回/分(同:1.7~9.0)増加した。
(ケアネット)