アトピー性皮膚炎、自家血療法の効果に迫る

提供元:ケアネット

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公開日:2014/03/18

 

 先行研究において、アトピー性皮膚炎(AD)患者における自家血療法(ABT)の臨床的有効性が無作為化二重盲検プラセボ対照試験によって示されているが、韓国・亜洲大学校のSu-Mi Cho 氏らによる検討の結果、同効果をもたらしている血液成分は、高分子量の血漿蛋白分画に存在する可能性が示唆された。Dermatology誌2014年2月号(オンライン版2013年12月10日号)の掲載報告。

 研究グループは本検討において、先行研究で示されたADに対するABTの有効性をもたらした血液成分を明らかにすることを目的とした。また、自家血漿療法(APT)と自家高分子血漿蛋白分画療法(AHPT)の臨床的効果について評価した。

 難治性のAD患者について、7週間で計8回の筋注によるAPTもしくはAHPTを行った。投与は、0~3週目の4回は2mL、4~7週目の4回は5mLであった。

 主要有効性アウトカムは、ADの臨床的重症度の変化で、SCORAD測定により評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・被験者は、APT群11例(男性8例、26.6±7.3歳)、AHPT群11例(男性8例、26.5±4.7歳)の計22例であった。SCORAD 50点超の重症AD患者は両群とも10例ずつであった。また、APT群の5例、AHPT群の3例が、試験登録より3ヵ月超前にシクロスポリン療法を受けていた。
・結果、AHPT群の治療を完了した患者11例は、SCORADが有意に低下した。ベースライン時79.7±17.0点から、6週時点65.8±16.4点、7週時点60.1±16.0点であった(Wilcoxon signed-rank検定p<0.05)。
・一方、APT群で治療を完了した10例は、SCORADの変化は有意ではなかった。ベースライン時74.2±19.6点から、6週時点66.3±23.6点、7週時点67.5±20.8点であった(p>0.05)。
・治療反応(臨床的重症度スコアがベースライン時から30%以上減少した患者の割合)については、両群で有意差はみられなかった(p=0.08)。
・以上を踏まえて著者は、「本検討において、難治性ADについてAHPTは有意な臨床的改善をもたらすことが示された。このことは、AD患者のABTにおける効果をもたらしている血液成分は高分子量血漿蛋白分画であることを示唆する。さらなる検討により、ABT治療の作用機序を明らかにする必要がある」とまとめている。

(ケアネット)