変形性膝関節症(膝OA)の発症予防は、どのような患者にどのような薬剤を用いれば高い費用効率が得られるのだろうか。米国・Brigham and Women's病院のElena Losina氏らによる解析の結果、肥満かつ膝損傷歴のある膝OA発症リスクの高い患者では疾患修飾作用のある薬剤を用いた治療が費用対効果に優れることが示された。これはほかの一般的に認められた予防的治療に匹敵するだろう、とまとめている。Osteoarthritis and Cartilage誌2014年3月(オンライン版2014年1月31日)の掲載報告。
研究グループは、膝OAのシミュレーションモデルであるOsteoarthritis Policy(OAPol)モデルを用い、疾患修飾OA治療薬(DMOADs)による発症予防の費用効率を解析した。
コホートは膝OA発症リスク因子なし、肥満、膝損傷歴あり、高リスク(膝損傷歴を有する肥満者)の4つを用いた。
50歳からDMOADsを開始して最初の1年間の有効率は40%、以降年5%が膝OAを発症し、重大な毒性の発現率は0.22%、年間医療費は1,000ドルを基本ケースとし、標準治療と比較した。
主な結果は以下のとおり。
・高リスク群では、基本ケースで質調整生存年(QALY)が0.04延長し、生涯医療費は4,600ドル増加した。
・増分費用対効果比(ICER)は、11万8,000ドル/QALYであった。
・膝損傷歴群では、基本ケースのICERは、15万ドル/QALY超であった。
・肥満群およびリスク因子なし群では、標準治療より基本ケースの費用対効果は低かった。
(ケアネット)