膝OA痛や慢性腰痛へのデュロキセチン、治療効果の判断はいつ?

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2014/04/11

 

 疼痛治療戦略を変更する時期に関する研究は十分ではなく、慢性疼痛における差の1つとなっている。オーストラリア・メルボルン大学のOwen D Williamson氏らは、変形性膝関節症による痛み(膝OA痛)や慢性腰痛症に対するデュロキセチン治療について、その治療戦略を変更する判断時期を明らかにする検討を行った。結果、4週時点での疼痛改善が10%未満の場合は、12週間治療をしても疼痛改善効果の達成は限定的であることを報告した。Clinical Therapeutics誌オンライン版2014年3月17日号の掲載報告。

 研究グループは、膝OA痛または慢性腰痛症を有する非うつ病患者を対象とした、デュロキセチン治療とプラセボを比較した試験から、疼痛重症度の変化の事後分析を利用して検討を行った。

 分析に組み込むための試験選択は、試験デザインの類似性をベースとした。疼痛重症度は、数値的評価尺度(0:痛みなし~10:最も激しい痛み)を用いて測定し、患者日誌に毎日記録して、24時間平均値を求めてから週平均値を算出し、疾患状態別にプールした。疼痛重症度が、ベースラインから30%以上改善の場合は中等度改善と定義し、10%未満改善の場合は最小改善と定義した。

 非改善または最小改善患者について、デュロキセチン治療3ヵ月間での最小改善達成の確率を、治療2、4、6週後にKaplan-Meier法を用いて推算した。同様に、最小改善(疼痛重症度改善30%未満)を達成しなかった全患者についても算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象は、デュロキセチン60または120mg/日投与に無作為に割り付けられた膝OA痛患者239例と慢性腰痛症患者541例であった。
・治療2週後に最小改善であった患者が、3ヵ月後に中等度改善を達成する確率は40%未満であった。
・治療4週後に最小改善であった患者の場合は、3ヵ月後の中等度改善達成率は膝OA痛で30%未満、慢性腰痛で25%未満であった。
・治療2週後に中等度改善であった患者は、中等度改善達成率が膝OA痛62%、慢性腰痛52%であった。
・治療4週後に中等度改善であった場合は、それぞれ50%未満および40%未満であった。

 これらの結果を踏まえて著者は、「膝OA痛または慢性腰痛患者でデュロキセチン治療を受けている患者について、4週後の疼痛改善が10%未満(最小改善)である場合は、最終的に12週(3ヵ月)後に最小改善さえ達成することが限定的である可能性が示唆された」とまとめた。

(ケアネット)