複数の先行研究において、診断補助ツールとしてGoogle検索の有用性の評価がなされているが、相反する結果が示され論争の的となっている。サウジアラビアのキング・ファイサル大学のMontassar Amri氏らは、皮膚科疾患の診断における同検索の有用性を検討した結果、Google検索を活用したほうが適切な診断がつけられた割合が倍近かったことを報告した。結果を踏まえて著者は、「Google検索は興味深い(interesting)診断補助ツールのようである」と述べたうえで、「しかしながら、われわれは、診断は第一に臨床スキルと経験に基づく“art”であることを強調する」とまとめている。Informatics in Primary Care誌2014年5月号の掲載報告。
研究グループは、Google検索が皮膚科の適切な診断にどれぐらい有用かを調べるため、2名の5年生の医学生(A、B)と1名のデモンストレーター(C)に協力してもらい、検討を行った。
2005年3月~2009年11月にWebで発表されている医学雑誌の全皮膚科症例から、25例の診断がついた症例を選び、3名に診断をつけてもらった。
主要アウトカムは、3名の試験参加者が正しく診断をつけられた症例数で、Google検索ありの場合となしの場合で比較した。
主な結果は以下のとおり。
・試験参加者Aが正しく診断をつけられた症例数は、Google検索なしでは9/25例(36%)、ありでは18/25例(72%)であった。
・同様にBは、Google検索なしでは11/25例(44%)、ありでは19/25例(76%)であった。
・Cは、Google検索なしでは12/25例(48%)、ありでは18/25例(72%)であった。
・3名を合計すると、完全に正しく診断できたのは、Google検索なしでは32例(42.6%)、ありでは55例(73.3%)であった。
・3名合計で分析した結果、正しく診断をつけられた総数について、Google検索ありとなしとでは統計的に有意な差が認められた(p=0.0002)。
(ケアネット)