不眠の解消が高齢OA患者の疼痛の改善に

提供元:ケアネット

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公開日:2014/08/27

 

 不眠症を有する変形性関節症(OA)の高齢患者において、不眠の短期的な改善は長期的な転帰にどのような影響を及ぼすのだろうか。米国・ワシントン大学のMichael V. Vitiello氏らは、プライマリ・ケアを受診している同患者集団を対象とした認知行動療法の無作為化比較試験の2次解析から、短期的な不眠の改善が長期的な不眠、疼痛および疲労の改善をもたらす可能性があることを明らかにした。Pain誌2014年8月号(オンライン版2014年5月1日号)の掲載報告。

 研究グループは、疼痛と不眠に対する認知行動療法の有用性を調べるため、疼痛に対する認知行動療法またはOAに対する患者教育とを比較する無作為化試験を行った。対象は、OAと不眠症を有する60歳以上の高齢患者367例であった。

 今回の検討では、同被験者について、治療群とは無関係に睡眠改善群(不眠症重症度質問票[ISI]スコアがベースラインから2ヵ月後に30%以上減少)と非改善群に分類し、睡眠の短期改善と長期にわたる睡眠、疼痛および疲労の転帰との関係を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・治療群と潜在的な交絡因子を調整後、睡眠改善群は非改善群と比較して、疼痛重症度(p<0.001、調整後平均差:-0.51、95%信頼区間[CI]:-0.80~-0.21)、関節炎症状(p<0.001、同:0.63、0.26~1.00)、および恐怖回避(p=0.009、同:-2.27、-3.95~-0.58)が、18ヵ月間にわたって有意かつ持続的に改善することが認められた。
・一方、破局的思考およびうつの改善はみられなかった。
・改善群はさらに、ISI(p<0.001、同:-3.03、-3.74~-2.32)、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)合計スコア(p<0.001、同:-1.45、-1.97~-0.93)、一般的な睡眠の質のスコア(p<0.001、同:-0.28、-0.39~-0.16)、フリンダース疲労尺度(p<0.001、同:-1.99、-3.01~-0.98)、および睡眠に対する機能障害性信念尺度(Dysfunctional Beliefs About Sleep Scale、p=0.037、同:-2.44、-4.74~-0.15)の有意かつ持続的な改善を示した。
・睡眠の機能的転帰に関する質問票(FOSQ)およびエプワース眠気尺度(ESS)の改善はみられなかった。
・睡眠の短期改善(2ヵ月後)が長期(9ヵ月、18ヵ月後)の睡眠、疼痛および疲労に関する複数の評価項目の改善を予測した。
・これらの改善は、精神的健康(うつの改善など)に関する非特異的な恩恵によるものではなかった。

(ケアネット)