オランダでは、プライマリ・ケアにおいて変形性関節症患者が十分な治療を受けることができるよう段階的治療戦略(SCS)が開発されている。しかし、Sint MaartenskliniekのAgnes J Smink氏らによる調査の結果、2年間にわたりSCSを一貫して実践しても、実践しなかった場合と比べ疼痛や身体機能の変化に差はないことが明らかになった。この結果について著者は、「SCSに沿わない治療が行われた理由、あるいはSCSの長期的な有効性や費用対効果、副作用などさらなる検討が必要で、SCSの価値について考慮されるべき重要な問題がある」との見解を示した。British Journal of General Practice誌2014年9月号の掲載報告。
研究グループは、SCSの実践と健康アウトカムとの関連を評価する目的で、一般開業医を受診した変形性関節症患者313例の、2年間にわたる観察研究のデータを解析した。
各段階で推奨されているすべての方法が行われた後に次の段階の治療が行われた場合を“SCS実行”と定義し、疼痛および身体機能(WOMACで評価:範囲0~100)、疼痛コーピング(Pain Coping Inventory:範囲10~40)、自己効力感(Dutch General Self-Efficacy Scale:範囲12~48)を評価した。
主な内容は以下のとおり。
・SCS実行群は117例、非実行群は163例であった。
・疼痛および身体機能スコア改善の2年間の変化量は、両群間で統計学的有意差は認められなかった。
・その差は交絡因子補正後も変わらず、SCS実行群の非実行群に対する差はWOMAC疼痛スコアで-4.3(95%信頼区間[CI]:-10.3~1.7)、WOMAC身体機能スコアで-1.9(95%CI:-7.0~3.1)であり、SCSの非実行を支持する結果であった。
・疼痛コーピングおよび自己効力感改善については、スコアはSCS実行を支持するものであったが、両群間で統計学的有意差はみられなかった。
(ケアネット)