急性坐骨神経痛への抗NGF抗体の効果

提供元:ケアネット

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公開日:2014/10/03

 

 急性坐骨神経痛患者を対象とした完全ヒト型抗ヒト神経成長因子(NGF)モノクローナル抗体ファシヌマブ(REGN475、国内未承認)皮下投与の有効性および安全性を検討したPOC(proof-of-concept)試験の結果が発表された。米国、リジェネロン・ファーマシューティカルズ社のPaul J. Tiseo氏らが報告した。ファシヌマブ皮下投与は概して忍容性は良好であったものの、急性坐骨神経痛の疼痛または機能障害に対しプラセボと比較して、有意な効果は認められなかったことが示されている。Journal of Pain Research誌2014年8月22日号の掲載報告。

 本研究は、無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験として実施された。

 対象は、2~16週間持続する片側性で中等度~重度の坐骨神経痛を有する患者で、ファシヌマブ0.1mg/kg、0.3mg/kgまたはプラセボ皮下投与の3群に無作為に割り付け(それぞれ53例、53例、51例)、12週間追跡した。

 被験者に下肢痛および腰痛について、数値的評価スケールを用い毎日、平均と最悪の疼痛を日誌に記録してもらった。

 主要評価項目は、試験開始後4週までの平均下肢痛に関する疼痛スコア曲線下面積、主な副次的評価項目は平均および最悪の下肢痛ならびに腰痛(試験開始後4週間後まで、ならびに各週までの変化量)、機能(Oswestry Disability Index[ODI])および鎮痛薬の使用であった。

 主な結果は以下のとおり。

・141例(88.7%)が試験を完了し、3群で患者背景に差はなかった。
・試験開始後4週までの平均下肢痛の疼痛スコア曲線下面積(平均±標準偏差)は、プラセボ群96.8±6.0に対し、ファシヌマブ0.1mg/kg群112.7±58.3(p=0.0610)、ファシヌマブ0.3mg/kg群112.4±55.8(p=0.0923)で、いずれの投与群ともにプラセボ群と有意な差は認められなかった。
・すべての副次的評価項目は、プラセボ群とファシヌマブ群で類似していた。
・治療下で発現した有害事象の発現率は、プラセボ群45.1%、ファシヌマブ0.1mg/kg群50.9%、ファシヌマブ0.3mg/kg群64.8%であった。
・主な有害事象は、感覚異常、関節痛、四肢痛および頭痛であった。

(ケアネット)