カナダ・モントリオール大学病院研究センターのPascale Rialland氏らは、イヌの変形性関節症(OA)モデルを用いて、感受性と疼痛関連行動との関連を調べる検討を行った。その結果、イヌOAの疼痛症状の予測因子を定量的感覚検査(QST)で導き出せるという興味深い知見が得られたことを報告した。Pain誌2014年10月号(オンライン版2014年7月27日号)の掲載報告。
これまでのイヌOAの検討では、侵害受容感作の評価、およびそのほかの臨床症状との関連についての検討は不十分であった。研究グループは16匹のイヌを対象に、最大垂直力(PVF)、3つの尺度を用いた主観的疼痛評価、皮膚電気活動(EDA)測定による交感神経系ストレス反応、ビデオ解析と遠隔測定器による行動変化を、ベースライン(7日)、前十字靭帯断裂後28日、56日時点で測定し、また、中枢感作マーカーとして、脊髄バイオマーカー(サブスタンスP[SP]、トランスチレチン)を56日時点で測定し定量化した。さらに後膝関節と尾部の閾値は電位測定で計測し、末梢および中枢部の疼痛感度をQSTで測定した。
検討では、溶媒投与群(8匹)と、チルドロネート投与群(2mg/kgを2週ごとに皮下注、投与開始は0日時点)について比較した。行動測定および生理学的測定とQST感作との関連性を標準化計算式で調べ、治療効果を検出する方法論の感度を調べた。
主な結果は以下のとおり。
・56日時点で、チルドロネート群と比較して溶媒投与群では、脊髄SP値(p=0.01)が上昇し、トランスチレチン値は低下した(p=0.02)。
・また、ベースライン時との比較において、溶媒投与群では末梢および中枢部QST感作が示された。チルドロネート群ではみられなかった。
・QST感作発生との関連性は、PVF(「最大限の体重負荷で歩いている」ことを示す)、EDAのみでみられた。また、中枢部QST感作の包含後にチルドロネートの有意な鎮痛効果が示され、統計的モデルの変量予測因子となることが示唆された。
(ケアネット)