腰痛の機能障害を短期に改善する手技は?

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2014/12/12

 

 腰痛に対する一般的な治療である徒手的スラスト手技について、機械を補助に用いるマニュピレーション(MAM)、および通常の内科的治療とを比較する無作為化試験が、米国・ピッツバーグ大学のSchneider Michael氏らにより行われた。結果、徒手的スラスト手技は、MAMおよび内科的治療に比べ、腰痛患者の疼痛や機能障害を短期的に改善することが示されたという。これまでに、徒手的スラスト手技が、MAMに代わる有効な選択肢かどうかは立証されておらず、また、内科的治療と比較して急性および亜急性期の腰痛に脊椎マニュピレーションが有効であるかどうかについても議論の余地が示されていた。Spine誌オンライン版2014年11月21日の掲載報告。

 対象は、過去12週間以内に腰痛を発症した成人患者107例で、徒手的スラスト手技、MAM、内科的治療の3群に無作為に割り付けた。

 脊椎マニュピレーション(徒手的スラスト手技、MAM)は週2回4週間実施し、内科的治療群の患者は4週間に3回受診してもらった。

 試験開始時、4週後、3ヵ月後および6ヵ月後に、機能障害(オスウェストリー障害指数[ODI]:0~100)ならびに疼痛強度(数値的評価スケール:0~10)で改善の評価を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・4週後、いずれの評価項目もMAM群および内科的治療群に比べ徒手的スラスト手技群での改善が有意であった(vs. MAM:ODI=-8.1、p=0.009 疼痛強度=-1.4、p=0.002/vs. 内科的治療群:ODI=-6.5、p=0.032 疼痛強度=-1.7、p<0.001)。
・4週後にODIが30%または50%改善した患者の割合は、徒手的スラスト手技群がそれぞれ76%、50%で、MAM群の50%、16%、内科的治療群の48%、39%に比べ非常に高率であった。
・同様に4週後、疼痛強度が30%または50%改善した患者の割合は、徒手的スラスト手技群94%、76%、MAM群69%、47%、内科的治療群56%、41%であり、徒手的スラスト手技群が優れていた。
・4週後、MAM群と内科的治療群との間で有意な差はみられなかった。
・3ヵ月後および6ヵ月後はいずれの評価項目も各群で類似していた。

(ケアネット)