腰痛の機能障害の程度と椎間関節OAは相関するのか

提供元:ケアネット

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公開日:2014/12/19

 

 椎間関節の変形性関節症(FJOA)は腰痛や下肢痛の原因として知られているが、ドイツ・ゲーテ大学のAdel Maataoui氏らは、L4/L5およびL5/S1レベルのFJOAとオスウェストリー障害指数(ODI)との関連について調査し、MRIで評価した椎間関節の退行性変化とODIはほとんど相関していないことを明らかにした。画像所見のみでは腰痛を十分説明できないという臨床経験を裏付ける結果であり、著者は「腰痛の適切な診断の進歩には臨床的な相関関係が不可欠である」とまとめている。World Journal of Radiology誌2014年11月号の掲載報告。

 腰痛患者591例(平均年齢47.3歳)を対象に、1.5テスラMRI装置Magnetom Avantoを用いて腰椎を撮像するとともに、機能障害をODIにて評価した。

 MRI画像は、5年以上の筋骨格系画像診断経験を持つ認定放射線科医2人が盲検下にて評価し、L4/L5およびL5/S1椎間関節(計2,364ヵ所)の変性について、Weishauptらのスケールを用い4段階(グレード0~3)に分類した。

 主な結果は以下のとおり。

・FJOAの有病率は、L4/L5が97%、L5/S1が98%であった。
・FJOAの程度は、L4/L5が左/右それぞれ、グレード0:17例/15例(2.9%/2.5%)、グレード1:146例/147例(24.7%/24.9%)、グレード2:290例/302例(49.1%/51.1%)、グレード3:138例/127例(23.4%/21.5%)であった。
・同様に、L5/ S1では左/右それぞれ、グレード0:10例/11例(1.7%/1.9%)、グレード1:136例/136例(23.0%/23.0%)、グレード2:318例/325例(53.8%/55.0%)、グレード3:127例/119例(21.5%/20.1%)であった。
・ODIスコアは、最小0%、最大91.11%、平均32.77±17.02%であった。
・48.39%の患者は、中等度の機能障害(ODIスコア:21~40%)を有していた。
・L5/S1右側のみ、FJOAとODIとの間に弱い正の相関関係が認められたが、それ以外(L4/L5レベル両側およびL5/S1レベル左側)は認められなかった。

(ケアネット)