以前より、NSAIDsの使用が大腸がんのリスクを低減するという実質的なエビデンスがあるが、どのようなサブグループで化学的予防効果が副作用のリスクを上回るかについては特定されていない。米国・Fred Hutchinson Cancer Research CenterのXiaoliang Wang氏らは、VITAL試験のコホートを対象に、大腸がんのあらゆるリスク因子とNSAIDs使用との関連性を調べた。その結果、NSAIDsの高頻度・長期投与と大腸がんリスクとの関連性について、サブグループ間の有意差は認められなかったとしたうえで、「NSAIDsは他の因子に大きく影響されることなく、大腸がん予防において全体的に有益な役割を持つ」と結論付けた。Cancer epidemiology, biomarkers & prevention誌オンライン版2015年1月22日号掲載の報告。
2000年から2002年の間に、計7万3,458例(50~76歳)がすべてのアンケートに回答した。そのうち674例が2010年までの間に大腸がんを発症した。
主な結果は以下の通り。
・層別解析において、いずれの種類のNSAIDsであっても高頻度・長期投与(週4日以上を4年以上)は、性別、BMI、身体活動レベル、喫煙、飲酒、スクリーニングや食事に関する因子で層別化したすべてのサブグループにおいて、統計的に有意な大腸がんリスクの減少に関与していた。
・より強い関連性を示した群は、男性、肥満、大量飲酒者であった。しかしながら、これら3群ともその交互作用はその他の群との比較において統計学的な有意差に至らなかった。
・この関連性は、大腸がんリスクの高スコア群(ハザード比:0.62、95%信頼区間:0.49~0.79)と低スコア群(ハザード比:0.61、95%信頼区間:0.42~0.88)において、ほぼ同じであった。
・さらに、がんの部位や病期によって影響が異なるかを検討した。その結果、NSAIDsの使用は近位部vs遠位部の大腸がん(群間差のp=0.06)、もしくは遠隔転移病期vs局所病期(同p=0.04)のいずれにおいても大幅なリスク低減に関連していた。
(ケアネット 岸田有希子)