国立がん研究センター東病院の布施 望氏らは、標準化学療法を受けた進行胃がん患者において、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、上皮成長因子受容体(EGFR)、およびc-METの発現状況が独立した予後予測因子であるかどうかを検討した。その結果、c-METが陽性の場合に予後不良であることが示唆された。著者らは「これらのデータは今後、進行胃がんに対する治療薬剤の臨床試験のベースとして利用できる」としている。Gastric Cancer誌オンライン版2015年2月15日号に掲載。
組織学的に腺がんが確認され、1次化学療法としてS-1+シスプラチンの治療を受けた、切除不能・再発胃がんまたは胃食道接合部がん患者を適格とした。HER2、EGFR、c-METの状態は、ホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍サンプルを用いてIHC法で調べた。また、HER2の遺伝子増幅はFISH法を用いて調べた。陽性の定義は、HER2については、IHCスコア3+またはIHCスコア2+/FISH陽性、EGFRおよびc-METについては、IHCスコア2+または3+とした。
主な結果は以下のとおり。
・9施設293例の患者のうち、HER2陽性が43例(15%)、EGFR陽性が79例(27%)、c-MET陽性が120例(41%)であった。10例(3%)がHER2、EGFR、c-METとも陽性であった。
・追跡期間中央値は58.4ヵ月で、それまでに280例が死亡した。
・HER2およびEGFRの発現状況(陽性/陰性)で全生存期間(OS)に有意差は認められなかったが、c-MET陽性例と陰性例ではOSに有意差が認められた[中央値:11.9ヵ月vs 14.2ヵ月、ハザード比:1.31(95%CI:1.03~1.67)、log-rank p=0.024]。
・多変量解析によっても、c-MET陽性はOSの予後予測因子のままであった [ハザード比:1.30(95%CI:1.02~1.67)、p=0.037]。
(ケアネット 金沢 浩子)