乳がんは原発巣と再発部位でバイオマーカーの状態に変化がみられる。しかし、その臨床的意義は、とくに乳房温存術後の同側乳房内再発(IBTR)患者において、明らかになっていない。日本乳癌学会の共同研究グループでは、原発巣とIBTRのバイオマーカー(ER、HER2、Ki-67)を比較し、その変動が、再発後の予後に影響するかどうか検討した。その結果、Ki-67が増加もしくはIBTRで高値のままだと、IBTR後の予後が悪いことが示唆された。European journal of surgical oncology誌オンライン版2015年2月7日号に掲載。
本研究では、遠隔転移のないIBTR患者117例に対して、原発巣とIBTRにおけるER、HER2、Ki-67を調べた。
主な結果は以下のとおり。
・IBTRの外科切除後、ERおよびHER2の変化と遠隔無病生存率(DDFS)との間に関連はみられなかった。一方、原発巣からIBTRへのKi-67の変動は、DDFSと有意に相関していた(調整前:p=0.0094、調整後:p=0.013)。
・Ki-67が“増加もしくは高値のまま”のグループのDDFSは、“減少もしくは低値のまま”のグループに比べて有意に低かった(5年DDFS:55.5%対79.3%、log-rank検定 p=0.0084)。
(ケアネット 金沢 浩子)