これまで、プロ野球選手における投球腕の血流量を調査した研究はなかった。米国・イリノイ州立大学のKevin Laudnerらは、超音波を用いた血流量の測定を行い、投手の肩外転時の上腕動脈血流量が、1年間で有意に減少することを示した。今回の結果について著者は、「プロ野球投手の上肢血流が、シーズン中に損なわれている可能性が示唆された」とまとめている。Journal of Shoulder and Elbow Surgery誌オンライン版2015年4月1日号の掲載報告。
本研究には、プロ野球の投手20人および野手16人が参加した。
2シーズン連続して、春季キャンプの第1日目に超音波を用いて投球腕の上腕動脈血流量を測定した。測定は、立位で試験腕(投球腕)を静止させた位置(肩外転約0度)と、肩を外転させ刺激が加わる位置で行った。
主な結果は以下のとおり。
・投手では、静止位置における血流量は、初回測定時と1年後測定時とで変化はなかった。しかし、刺激位置では初回測定時に比べ1年後は有意に減少した(p=0.009)。
・野手では、どちらの位置でも血流量に有意な変化はみられなかった。
(ケアネット)