脊椎疾患の待機的手術、患者満足度が有効性を正確に表す?

提供元:ケアネット

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公開日:2015/05/19

 

 患者満足度調査は、医療の質と診療報酬の償還を決める要素として生み出されたもので、満足度を改善する要因を特定することは非常に重要である。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのSilky Chotai氏らは、脊椎変性疾患に対する待機的手術時に行った患者満足度調査から、アウトカムに対する患者の満足度は、脊椎外科的治療の有効性を正確に表すことが可能で、術後1年間における疼痛や機能障害の改善で示されることを報告した。ただし、だからといって満足度が治療の全体の質や有効性に依存するわけではないこと、メディケイド/保険非加入者の支払人の社会的地位および手術前の疼痛や機能障害が関与することも示唆されたと述べている。Neurosurgery誌オンライン版2015年4月23日号の掲載報告。

 研究グループは、術前の患者背景や患者報告アウトカムが脊椎手術後の患者の不満を予測できるかどうかを検討する目的で、腰椎・頚椎変性疾患の待機的手術を受ける患者を対象に、2年間にわたり前向き登録研究を行った。
 
 手術前および手術12ヵ月後に、患者報告アウトカム、腰痛/頚痛による機能障害指数(Oswestry Disability Index[ODI]/Neck Disability Index[NDI])、腰痛/頚痛および下肢痛/上肢痛(数値的評価スケールによる疼痛スコア)を記録した。
 
 以前の報告に基づきODIは14.9%、NDIは17.3%、腰痛/頚痛は2.1/2.6、下肢痛/上肢痛は2.8/4.1を臨床的に重要な最小差とし、患者満足度は北米脊椎学会の患者満足度質問票(North American Spine Society Satisfaction Questionnaire)を用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象症例は1,645例であった(男性811例、年齢57±13歳)。
・12ヵ月後のアウトカムに満足であると報告した患者の割合は83%(1,362例)であった。
・多変量解析の結果、12ヵ月後の患者が不満であることの独立した予測因子は、ODI/NDI(オッズ比[OR]:4.215、95%信頼区間[CI]:2.7~6.5、p<0.001)、腰痛/頚部痛(同:3.1、2.188~4.43、p<0.001)、ならびに下肢痛/上肢痛(同:2.6、1.8~3.6、p<0.001)であった。また、患者特異的因子で調整後は臨床的に重要な最小差を達成できなかったが、メディケイド/保険非加入者の支払人の社会的地位(同:1.39、1.01~1.93、p=0.04)および手術前のODI/NDIスコア高値(同:1.11、1.04~1.19、p=0.002)ならびに腰痛/頚痛スコア高値(同:1.03、1.01~1.06、p=0.002)が予測因子として示された。

(ケアネット)