想像以上に難しいRAの「バイオフリー」

提供元:ケアネット

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公開日:2015/11/19

 

 現在、生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARDs)は多くの関節リウマチ(RA)患者で使用されているが、寛解時にbDMARDsの使用を中止しても疾患コントロールができる患者はどれくらいの割合で存在するのだろうか。ハーバード大学の吉田 和樹氏らは、日常診療における寛解時にbDMARDsを中止した場合の影響について調査を行ったところ、bDMARDsフリーによるclinical disease activity index(CDAI)寛解は高確率で失敗に終わることがわかった。この結果は、一度寛解に至った後も疾患コントロールを行うことが難しいことを示している。ただし、寛解を維持した患者の中には非生物学的製剤治療の変更を行った者もいた。bDMARDsの費用が高額であることを考慮すれば、bDMARDsの中止後に疾患コントロールを行う治療戦略は重要な選択肢である可能性がある。Rheumatology誌オンライン版2015年9月8日号の掲載報告。

 調査では、わが国におけるRA患者の多施設登録データベース「Ninja」のデータを用いた。bDMARDsを使用しており、かつbDMARDs中止前のCDAI 2.8以下の寛解が1回以上ある患者を対象とした。bDMARDsフリーによる疾患コントロールの失敗は「bDMARDsの再使用」「non-bDMARDs・経口ステロイドの増量」「CDAI寛解の喪失」により定義された。

 主な結果は以下のとおり。

・bDMARDsで寛解を達成した1,037例のうち、46例でbDMARDsを中止した。
・46例のうち41例(89.1%)が女性であり、罹病期間の中央値は6年で、31例(70.5%)でレントゲン上にびらんが観察された。
・46例のうち27例(58.7%)がメトトレキサートを用いており、19例(41.3%)が経口ステロイドを用いていた。
・bDMARDsフリーの寛解喪失率は1年で67.4%、2年で78.3%と推定された。
・多くみられたbDMARDsフリーによる疾患コントロール失敗の理由は、CDAI寛解喪失とbDMARDs再使用であった。
・寛解中のCDAIの値が低いほど、疾患コントロール失敗も少なかった。

(ケアネット 有田 衣里)