脊髄性筋萎縮症治療における新たな選択肢が登場 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/10/26 2017年10月6日、バイオジェン・ジャパン株式会社は、メディアセミナー「日本初のアンチセンス核酸医薬品であるスピンラザ髄注12mg 最新技術の登場で変わる医療現場と治療方法」を開催した。 セミナーの前半では竹島 泰弘氏(兵庫医科大学 小児科学講座 主任教授)が「アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたスプライシング制御による遺伝性神経筋疾患治療」と題した講演を行い、後半では、バイオジェン・ジャパン社の飛田 公理氏(メディカル本部 希少疾患領域[SMA]部長)が「スピンラザ髄注12mg」の概要を解説した。 常染色体劣性遺伝性神経筋疾患である脊髄性筋萎縮症(SMA)は、5番染色体長腕内のSMN1遺伝子の欠乏・変異からSMNタンパク質の不足が起こり、脊髄前角運動ニューロンの変性によって進行性の筋萎縮や筋力低下を来す疾患であり、乳児の遺伝性疾患による主要な死因となっている。 SMNタンパク質を作る遺伝子としては、SMN1遺伝子のほかにSMN1遺伝子の重複遺伝子であるSMN2遺伝子が挙げられるが、SMN2遺伝子から作られるSMNタンパク質は約9割が非機能性であり、通常SMN2遺伝子から作られる機能性SMNタンパク質の割合は全体の約1割にすぎない。 SMAには根本的な治療法はなく、これまで対症療法として栄養、呼吸器、筋骨格系合併症に対する包括的ケアや緩和ケアが行われてきたが、今夏、新たな選択肢としてヌシネルセンナトリウム(商品名:スピンラザ)が登場した。 スピンラザはSMN2遺伝子のmRNA前駆体に結合することで、機能性SMNタンパク質の産生を増加させる日本初のアンチセンス核酸医薬品であり、乳児型SMAを対象としたENDEAR試験および乳児型以外のSMAを対象としたCHERISH試験の中間解析において、臨床的に有意な有効性と忍容可能な安全性が認められている。 今後の課題として、脊髄性筋萎縮症という疾患自体は多くの医師に知られているが、一般小児科や産婦人科では見逃されている可能性もあるという。竹島氏は「乳幼児健診等では脊髄性筋萎縮症の可能性を念頭に置き、診察していただきたい」と要望を述べて会を締めくくった。 ■参考 医療関係者向け情報サイト:スピンラザ髄注12mg 患者向け情報サイト:TOGETHER IN SMA (ケアネット 有田 衣里) 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブ、最終OS結果(KEYNOTE-522)/NEJM(2024/09/27) 複雑病変へのPCI、OCTガイドvs.血管造影ガイド/Lancet(2024/09/27) 重症インフルエンザに対する抗ウイルス薬の有効性(解説:小金丸博氏)(2024/09/27) 転移を有するホルモン感受性前立腺がん、ダロルタミド+ADTがrPFS改善(ARANOTE)/ESMO2024(2024/09/27) 日本人治療抵抗性うつ病に対するケタミン治療の有用性~二重盲検ランダム化比較試験(2024/09/27) サシツズマブ ゴビテカン、トリプルネガティブ乳がんに承認/ギリアド(2024/09/27) アミバンタマブ、化学療法との併用でEGFRエクソン20挿入変異陽性肺がんに承認/ヤンセン(2024/09/27) 患者満足度向上対策をクリニックの6割が実施/医師1,000人アンケート(2024/09/27) 肛門扁平上皮がん1次治療、新規抗PD-1抗体上乗せが有用(POD1UM-30)/ESMO2024(2024/09/27) [ あわせて読みたい ] 化療スタンダードレジメン(2014/01/07) 産婦人科医ユミの頼られる「女性のミカタ」 (2014/10/08) 化療スタンダードレジメン:卵巣がん(2014/06/17) Dr.ゴン流ポケットエコー簡単活用術(2014/06/11) 化療スタンダードレジメン:卵巣がん(2014/06/03) ここから始めよう!みんなのワクチンプラクティス ~今こそ実践!医療者がやらなくて誰がやるのだ~(2014/05/15) 化療スタンダードレジメン:卵巣がん(2014/05/14) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) こどものみかた<下巻> ~シミュレーションで学ぶ見逃せない病気~(2013/07/08) こどものみかた<上巻> ~シミュレーションで学ぶ見逃せない病気~(2013/06/24)