白内障の高齢女性において、白内障手術は全死因死亡および原因別死亡のリスク低下と関連があることが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のVictoria L. Tseng氏らによるWomen's Health Initiative(WHI)の参加者を対象とした検討で明らかにされた。ただし著者は、「この関連が白内障手術によって説明されるかどうかは不明確である」としたうえで、「白内障手術、全身疾患および疾患関連死の相互作用についてのさらなる研究が、患者ケアの改善に役立つだろう」とまとめている。白内障手術はこれまでの研究で、健康状態および機能的な自立の改善を通し、全死因死亡リスクの減少に関与することが示唆されている。しかし、白内障手術と原因別死亡率との関連は十分に解明されていなかった。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年10月26日号掲載の報告。
研究グループは、白内障の高齢女性における白内障手術と原因別死亡率との関連を調べる目的で、メディケア請求データベースと結び付けられたWHIの臨床試験および観察研究(1993年1月1日~2015年12月31日)から得た、65歳以上の白内障女性患者7万4,044例のデータを、2014年7月1日~2017年9月1日に解析した。
白内障手術の有無はメディケア請求コードにより判定した。評価項目は、全死因死亡および、血管疾患、がん、神経疾患、肺疾患、感染症および不測の原因による死亡とした。log-rank検定、ならびに患者背景、全身と眼の合併症、喫煙、飲酒、BMIおよび身体活動で調整したCox比例ハザードモデルを用い、白内障手術あり群となし群で死亡率を比較した。
主な結果は以下のとおり。
・解析対象7万4,044例中、白内障手術を受けたのは4万1,735例であった。
・7万4,044例の背景は、平均(±SD)年齢70.5±4.6歳で、白人が最も多く(6万4,430例、87.0%)、次いで黒人(5,293例、7.1%)、ヒスパニック(1,723例、2.3%)の順であった。
・死亡率は、両群で100人年当たり2.56であった。
・共変量補正後のCox比例ハザードモデルにおいて、白内障手術は全死因死亡リスクの低下と関連していた(補正後ハザード比[AHR]:0.40、95%信頼区間[CI]:0.39~0.42)。
・同様に、原因別死亡リスクの低下とも関連していた。血管疾患死(AHR:0.42、95%CI:0.39~0.46)、がん死(0.31、0.29~0.34)、不慮の死(0.44、0.33~0.58)、神経疾患死(0.43、0.36~0.53)、肺疾患死(0.63、0.52~0.78)、感染症による死亡(0.44、0.36~0.54)。
(ケアネット)