統合失調症患者における、第2世代抗精神病薬(SGA)の長時間作用型持効性注射剤(LAI)による治療と、再発、精神科への入院、入院日数、故意による自傷行為の回数および入院関連費との関連について、デンマーク・オールボー大学のRene Ernst Nielsen氏らが、調査を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2018年7月10日号の報告。
本調査は、SGA LAI開始前後におけるミラーイメージモデルを用いた、全国人口ベースのレトロスペクティブ研究として実施された。
主な結果は以下のとおり。
・調査母集団には、1万509例が含まれた。分析対象患者は、6ヵ月間で2,223例、12ヵ月間で1,383例、24ヵ月間で713例であった。
・LAI開始後、再発回数の減少が認められた。発生率比(IRR)は、6ヵ月間で0.60、12ヵ月間で0.64、24ヵ月間で0.64であった(すべてp<0.001)。
・精神科への入院の回数も、同様に減少が認められた。IRRは、6ヵ月間で0.59、12ヵ月間で0.60、24ヵ月間で0.64であった(すべてp<0.001)。
・精神科への入院日数においても、6ヵ月間で58日、12ヵ月間で100日、24ヵ月間で164日の減少が認められた(すべてp<0.001)。
・LAI開始患者におけるCox回帰モデルでは、診断時の年齢が高く(HR:0.99、95%CI:0.98~0.99、p<0.001)、診断された年が遅くなる(HR:0.99、95%CI:0.98~1.00、p<0.05)と再発率がより低かった。また、主に精神医学的合併症(HR:1.07、95%CI:1.04~1.11、p<0.001)や心血管疾患(HR:1.12、95%CI:1.01~1.26、p<0.05)では、再発との関連が認められた。
著者らは「本デザインが因果関係に関する推論を考慮していないとしても、本知見は、SGA LAIの使用を支持するものである」としている。
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(鷹野 敦夫)