正常眼圧緑内障、未治療のままだと5年で進行

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2019/02/05

 

 東京大学の坂田 礼氏らは、緑内障の進行において、乳頭出血(DH)の罹患または既往、長期の眼圧(IOP)変動、および垂直陥凹乳頭径比(v-C/D)の上昇が関連していたことを明らかにした。Ophthalmology誌オンライン版2018年12月31日号掲載の報告。

 研究グループは、正常眼圧緑内障(NGT)の自然進行の特徴と進行に関与する危険因子を特定する目的で、未治療の日本人NGT患者に対して5年間の前向きコホート研究を行った。

 対象患者は、ベースライン時点で未治療、IOPが15mmHg以下のNTG患者であった。視野(VF)検査を3ヵ月ごと、視神経乳頭/乳頭周囲網膜の写真撮影を6ヵ月ごとに行い、未治療のまま追跡調査した。

 主要評価項目は、VFおよび視神経乳頭/乳頭周囲網膜の悪化とし、ハンフリー自動視野検査のSITA(Swedish Interactive Thresholding Algorithm)プログラム24-2を用いて、3人の研究者が独立して判定した。また、病態進行の評価には生命表解析を用い、Cox比例ハザードモデルにて緑内障の進行におけるリスク因子を解析した。

 主な結果は以下のとおり。

・本試験には、90例が登録された(平均年齢:53.9歳、ベースライン時のIOP:12.3mmHg、平均偏差[MD]:-2.8dB)。
・MD slopeの平均値は-0.33dB/年(中央値:-0.23、95%信頼区間[CI]:-0.44~-0.22)。
・緑内障の5年進行率は、VFまたは視神経乳頭/乳頭周囲網膜の悪化(基準1)が66%(95%CI:55~78)、VFの悪化(基準2)が52%(95%CI:37~60)、視神経乳頭/乳頭周囲網膜の悪化(基準3)が50%(95%CI:38~71)であった。
・DHの罹患または既往(p<0.001)、長期のIOP変動(p=0.020)、およびv-C/Dの上昇(p=0.018)は、基準1における有意な予測因子であった。
・長期のIOP変動(p=0.011)、およびv-C/Dの上昇(p=0.036)は、基準2における有意な予測因子であった。
・DHの罹患または既往(p=0.0018)、および長期のIOP変動(p=0.022)は、基準3における有意な予測因子であった。

(ケアネット)