非浸潤性乳管がん、局所治療しない場合の進行・死亡リスク

提供元:ケアネット

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公開日:2019/02/27

 

 非浸潤性乳管がん(DCIS)と診断された女性の大多数が治療を受けるため、局所治療していない女性の浸潤性乳がんへの進行および死亡リスクは不明である。今回、米国・デューク大学メディカルセンターのMarc D. Ryser氏らの研究により、局所治療を受けていないDCIS患者の浸潤がん進行リスクは限られることが示唆された。また、今回の研究コホートはDCISと診断された患者の一般集団を代表するものではないが、高齢者や併存疾患の多い患者においてとくに過剰治療の可能性があることが示唆された。Journal of the National Cancer Institute誌オンライン版2019年2月13日号に掲載。

 著者らは、米国国立がん研究所のSurveillance Epidemiology and End Results(SEER)Program(1992~2014)の記録で、根治切除または放射線治療を受けていないDCIS患者において、患者レベルのデータによる生存分析を行った。その後の同側浸潤がんのリスクをカプランマイヤー曲線で推定し、同側浸潤がん・対側乳がん・死亡における累積発生率を競合リスク法で推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・局所治療を受けていない1,286例のDCIS患者が同定された。
・診断時の年齢中央値は60歳(四分位範囲:51~74歳)、追跡期間中央値は5.5年(四分位範囲:2.3~10.6年)であった。
・同側浸潤乳がんの10年リスク(net risk)は、腫瘍グレードI/IIの患者(547例)で12.2%(95%信頼区間[CI]:8.6~17.1%)、腫瘍グレードIIIの患者(244例)で17.6%(同:12.1~25.2%)、グレード不明の患者(495例)で10.1%(同:7.4~13.8%)であった。
・全患者における同側浸潤がん、対側乳がん、全死亡率の10年累積発生率は、順に10.5%(95%CI:8.5~12.4%)、3.9%(同:2.6~5.2%)、24.1%(同:21.2~26.9%)であった。

(ケアネット 金沢 浩子)