睡眠の時間と質は全年代の健康に関するトピックの1つである。しかし、アトピー性皮膚炎(AD)の特徴であるそう痒は、睡眠を妨害すると考えられているものの詳細は知られていない。米国・カリフォルニア大学のFaustine D. Ramirez氏らは、英国の出生コホートを用いた縦断研究において、ADと睡眠の質の低下が小児期から関連していることを明らかにした。この結果を踏まえて著者は、「医師はすべての小児AD、とくに喘息またはアレルギー性鼻炎を併存している症例や重症例については、睡眠の質を考慮すべきであり、それを改善するための介入が必要である」とまとめている。JAMA Pediatrics誌オンライン版2019年3月4日号掲載の報告。
研究グループは、活動性のADを有する小児において、睡眠持続時間と睡眠の質が妨害されているかどうか、また、重症度が睡眠アウトカムに影響を及ぼすかどうかを明らかにする目的で、英国・エイボン州の出生コホート研究として「Avon Longitudinal Study of Parents and Children」に登録されているデータを用いて解析した。
1歳児1万3,988例を対象とし、ADと睡眠についての自己申告による評価を16歳まで繰り返した。本研究では、1990~2008年に収集されたデータを基に、2017年9月~2018年9月に解析を行った。主要評価項目は、睡眠時間と睡眠の質(夜間中途覚醒、早朝早期覚醒、熟眠困難、悪夢など)の複合で、2~16歳の間に繰り返し測定された。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値は、11年(四分位範囲[IQR]:5~14年)であった。
・1万3,988例(男児7,220例[51.9%])のうち4,938例(35.3%)が、2~16歳の間にADの定義を満たしていた。
・活動性の小児AD患者とADのない小児の総睡眠時間は、すべての年齢層において同様だった。また、小児期の差の平均は、小児AD患者で-2分/日と臨床的に無視できるものだった(95%信頼区間[CI]:-4~0分)。
・対照的に、活動性の小児AD患者の睡眠の質は、すべての評価時点において不良との報告が多く、睡眠の妨害を経験する確率が約50%高かった(補正後オッズ比[aOR]:1.48、95%CI:1.33~1.66)。
・睡眠の質は、重症AD(きわめて悪い/非常に悪い、aOR:1.68、95%CI:1.42~1.98)、喘息またはアレルギー性鼻炎の併発あり(aOR:1.79、95%CI:1.54~2.09)の症例で、より悪かった。
・しかしながら、ADの重症度が、軽症AD(OR:1.40、95%CI:1.27~1.54)、または非活動性のAD(OR:1.41、95%CI:1.28~1.55)であっても、睡眠の質を損なう可能性が統計学的に有意に高かった。
(ケアネット)