わが国でも前立腺がんの罹患率は年々増加しており、近い将来、男性のがんで第1位になると予想されている。この前立腺がん罹患における身体活動の影響については研究結果が一致していない。今回、オーストラリア・Curtin大学のElizabeth Sorial氏らが症例対照研究で検討したところ、成人早期に高強度の余暇身体活動を活発に行うことが、前立腺がんリスクを減らす可能性が示唆された。Cancer Causes & Control誌オンライン版2019年4月8日号に掲載。
本研究は、2001~02年に西オーストラリアで実施された集団ベースの症例対照研究。自己申告のアンケートにより、余暇における身体活動に関するデータを収集した。前立腺がんに罹患した569例のケースと443例のコントロールについて、人口統計学的因子および生活習慣因子を調整したロジスティック回帰を用いて、罹患リスクにおける余暇の身体活動の影響を推定した。
主な結果は以下のとおり。
・19~34歳における高強度の身体活動と前立腺がんリスクとの間に、有意な負の用量反応関係があった(傾向のp=0.013)。
・19~34歳における高強度の身体活動が最も活発な四分位の参加者は、最も活発でない四分位の参加者よりも前立腺がんリスクが33%低かった(調整オッズ比:0.67、95%信頼区間:0.45~1.01)。
・中強度の身体活動は、前立腺がんリスクと関連していなかった。
・生涯における身体活動は、前立腺がんリスクとの関連を示さなかった。
・成人早期から行ったウエイトトレーニングと前立腺がんリスクは、有意ではないが負の関連を示した。
・身体活動と前立腺がんリスクの関連について、低グレードと中~高グレードの前立腺がんで関連が異なるという強いエビデンスは示されなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)