乳がんのリンパ浮腫が一過性から持続性になるリスク因子

提供元:ケアネット

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公開日:2019/05/10

 

 乳がん治療関連リンパ浮腫(breast-cancer-related lymphedema、以下BCRL)には一過性と持続性があるが、持続性への移行のリスク因子が明らかにされた。台湾・Koo-Foundation Sun Yat-Sen Cancer CenterのI-Wen Penn氏らによる5年間のコホート研究の結果、対象患者342例のうち3分の2が持続性で、「リンパ節転移が多い」「体重増加がある」「上腕周囲径の差(circumferential difference、以下CD)が大きい」患者ほど、持続性の尤度が高いことが示されたという。Supportive Care in Cancer誌2019年3月号掲載の報告。

 研究グループは、(1)BCRLを有する全患者において、持続性リンパ浮腫(persistent lymphedema、以下PLE)のリスク因子を特定すること、(2)PLE発症の予測モデルを確立することを目的とし、BCRLを有する患者342例を、腫脹発症から中央値5年間追跡し解析を行った。

 PLEの定義は、皮下組織の硬化、上腕CDまたは追跡期間中の腫脹再燃とした。

 多重ロジスティック回帰法にて、PLEリスク因子(腫脹、治療、患者関連因子など)を特定した。モデルの予測精度は、ROC曲線下面積(AUC)を用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・BCRL342例のうち、229例(67%)がPLEであった。
・多重ロジスティック回帰分析により、リンパ節転移の数(p=0.012)、初回腫脹時の最大上腕CD(p<0.001)、追跡期間中の同差の最大値(p<0.001)が、PLEの有意な予測因子であることが明らかにされた。AUCは0.908であった。
・体重増加(p=0.008)と、追跡期間最終時の最大CD(p=0.002)を含めると、分析精度はさらに上昇することが示された(AUC=0.920)。

(ケアネット)