オメガ3脂肪酸には植物由来と海洋由来があるが、本稿は海洋由来オメガ3脂肪酸の話題。米国・ハーバード公衆衛生大学院のMingyang Song氏らは、「Vitamin D and Omega-3 Trial:VITAL試験」で事前に設定された補助的研究において、海洋由来オメガ3脂肪酸(1日1g)の摂取は大腸がん前がん病変リスクの減少と関連しないことを明らかにした。ただし副次解析で、ベースラインのオメガ3濃度が低い参加者やアフリカ系米国人に関しては有益性を示す結果がみられ、筆者は、これらの対象についてはサプリメントの有益性についてさらなる調査が必要であると述べている。JAMA Oncology誌オンライン版2019年11月21日号掲載の報告。
研究グループは2011年11月~2014年3月に、がんおよび心血管疾患の既往がない米国の一般集団2万5,871例(うちアフリカ系米国人5,106例)を登録し、海洋由来オメガ3脂肪酸1g/日(エイコサペンタエン酸[EPA]460mgとドコサヘキサエン酸[DHA]380mgを含む)およびビタミンD3(2,000 IU/日)を投与する群と、プラセボ群に無作為に割り付けた。
主要評価項目は、大腸の通常型腺腫(管状腺腫、管状絨毛腺腫、絨毛性腺腫および高度異形成腺腫など)または鋸歯状病変(serrated polyp:SP)(過形成性ポリープ、鋸歯状腺腫およびsessile serrated polypなど)のリスクとした。追跡調査のアンケートでポリープの診断を受けたと報告した参加者(ポリープサブグループ)については、内視鏡および病理学的記録にて診断を確認。ロジスティック回帰分析を用い、年齢、性別、ビタミンD3治療群および内視鏡検査の使用について補正後、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出して評価した。
主な結果は以下のとおり。
・投与群とプラセボ群で患者背景は類似していた。女性50.6%、50.5%、黒人19.7%、19.8%、平均年齢は67.2歳、67.1歳。
・介入は予定どおり2017年12月31日に終了。追跡期間中央値5.3年において、通常型腺腫が投与群294例、対照群301例(多変量OR:0.98、95%CI:0.83~1.15)、鋸歯状病変がそれぞれ174例、167例(OR:1.05、95%CI:0.84~1.29)が記録された。
・ポリープサブグループにおいて、大きさ、位置、多発性または組織型で関連はなかった。
・副次解析において、ベースラインの血漿中オメガ3指数が低い参加者で、海洋由来オメガ3脂肪酸の投与が通常型腺腫のリスク低下と関連していた(OR:0.76、95%CI:0.57~1.02、オメガ3指数による相互作用のp=0.03)。
・サプリメントによる有益性は、アフリカ系米国人集団で示されたが(OR:0.59、95%CI:0.35~1.00)、他の人種/民族集団ではみられなかった(相互作用のp=0.11)。
(ケアネット)