新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による社会的活動の制限は、デスクワーカーたちの日常生活、ライフスタイルおよびウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態を示す概念)に多大な悪影響を与えていることが、米国・ピッツバーグ大学のB Barone Gibbs氏らが実施した縦断研究によって裏付けられた。これらを改善するためには、雇用主はリモートワークの実施状況にかかわらず、すべての従業員に対して支援を考慮する必要があるという。Occupational Medicine誌2021年4月9日号の報告。
COVID-19の流行とそれに関連する社会的活動の制限は、人々のライフスタイルやメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことが報告されている。これらの結果を裏付けるため、本研究では、外出禁止令発令中におけるデスクワーカーの労働慣行、ライフスタイルおよびウェルビーイングに対するCOVID-19の長期的な影響を調査した。
座位行動、身体活動、睡眠、食事、気分、生活の質、および仕事関連の健康を長期的に評価するため、デスクワーカーを母集団とする臨床試験の完了後に、検証済みの質問票と調査によるフォローアップを追加した(参加者112人、女性69%、平均年齢45.4[SD 12.3]歳、追跡期間13.5[SD 6.8]ヵ月)。得られた結果を、COVID-19による外出禁止令の発令前と発令中とで比較した。また、リモートワークの実施状況(常にリモート、リモートに切り替え、リモートなし)によって変化が異なるかどうか、共分散分析を用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・参加者の72%がリモートワークに変更するなど、労働慣行に大幅な変更があった。
・外出禁止令の発令前から発令中にかけて、以下の有害な変化がみられた。
非就業日における座位行動:1.3(SD 3.5)時間増加
睡眠の質:0.7(SD 2.8)ポイント悪化
気分障害:8.5(SD 21.2)ポイント増加
生活の質を評価する指標:8項目中、5つが減少
仕事関連の健康:0.5(SD 1.1)ポイント低下(p<0.05)
・一方、食事、身体活動および就業日における座位行動などの結果は、変わらなかった(p≧0.05)。
・常にリモートワークをしている人々は、非就業日の座位行動とストレスが大幅に増加し、身体機能が大幅に低下した。
・全体の起床時間は、41(SD 61)分遅くなった。
(ケアネット 池田 里美)