妊娠中の局所コルチコステロイド使用は安全なのか。デンマーク国立血清研究所(Statens Serum Institut:SSI)のNiklas Worm Andersson氏らによる大規模コホート研究の結果、妊娠中の局所コルチコステロイド使用は在胎不当過小児(SGA)や低出生体重児のリスク増大とは関連しないことが示された。
妊娠中の局所コルチコステロイド使用頻度は高く、新生児へのリスクに関する懸念は高いが、そのエビデンスを示すデータは限定的であった。妊娠中の局所コルチコステロイド使用についてはとくに、強力~非常に強力な薬剤の使用への懸念が高かったが、著者は「今回の結果は、妊娠中に強力な局所コルチコステロイドを大量に使用した場合でも、リスクが中程度~大幅に増大する可能性は低いことを示唆するものであった」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2021年5月5日号掲載の報告。
妊娠中の局所コルチコステロイド使用での顕著なリスク増大は認められず
研究グループは、妊娠中の局所コルチコステロイド使用とSGAおよび低出生体重児のリスク増大と関連するかを調べるため、さまざまなレジストリから集めた個人レベルの情報がある110万件の妊娠データを分析した。
1997年1月1日~2016年12月31日に、デンマークで局所コルチコステロイドに曝露された妊娠例を特定し、広範囲にわたるベースライン特性など傾向スコアに基づき非曝露例をマッチングし比較した。データ解析は2020年9月8日~2021年2月23日に行われた。主要アウトカムはSGAおよび低出生体重児で、アウトカムと曝露の関連を、相対リスク比(RR)および絶対リスク差(ARD)で評価した。
妊娠中の局所コルチコステロイド使用とSGAおよび低出生体重児のリスク増大と関連するかを調べた主な結果は以下のとおり。
・対象期間中の曝露例6万497例と、適合対照群24万1,986例について解析が行われた。
・SGA出生は、曝露群5,678例(9.4%)、非曝露群2万2,634例(9.4%)であった(RR:1.00[95%信頼区間[CI]:0.98~1.03]、1,000妊娠当たりのARD:0.3[95%CI:-2.3~2.9])。
・妊娠中のあらゆる用量の強力~非常に強力な局所コルチコステロイド使用と、SGA(RR:1.03、95%CI:0.99~1.07)または低出生体重児(0.94、0.88~1.00)のリスク増大との関連は認められなかった。
・事後解析において、非曝露の妊婦との比較において、妊娠中に強力~非常に強力な局所コルチコステロイドを大量使用(200g以上)した妊婦における顕著なリスク増大は認められなかった。RR(95%CI)は、SGAが1.17(0.95~1.46)、低出生体重児が1.14(0.81~1.60)であった。
(ケアネット)