ある抗CGRP(受容体)モノクローナル抗体に反応しなかった片頭痛患者に対する他の抗CGRP抗体への切り替えは治療選択肢の1つとなりうる可能性があるが、現時点ではデータが不足している。ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のLucas Hendrik Overeem氏らは、抗CGRP受容体モノクローナル抗体であるエレヌマブによる治療で有効性または安全性の懸念が認められた患者に対する他の抗CGRP抗体による治療反応を評価した。Cephalalgia誌オンライン版2021年10月13日号の報告。
対象は、ドイツの頭痛センター4施設において、効果不十分または継続しがたい副作用により他のCGRP抗体へ切り替えを行った片頭痛患者78例。対象患者の頭痛日誌をレトロスペクティブに分析した。対象患者のうちエレヌマブによる3サイクルの治療に反応が認められず(1ヵ月当たりの片頭痛日数の減少が30%未満)、他のCGRP抗体治療開始1ヵ月前および治療中に完全な頭痛データが得られた25例を特定した。主要評価項目は、ガルカネズマブまたはフレマネズマブ切り替え3ヵ月後における30%以上の治療反応率とした。副次的評価項目は、50%以上の治療反応率、1ヵ月当たりの片頭痛日数、1ヵ月当たりの急性頭痛薬の使用日数とした。対象患者を頭痛頻度が毎日(9例)または非毎日(16例)で層別化し、探索的サブグループ解析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・エレヌマブからガルカネズマブまたはフレマネズマブへの切り替え3ヵ月後における30%以上の治療反応率は、32%であった。
・50%以上の治療反応率が得られた患者は、12%であった。
・1ヵ月当たりの片頭痛日数は、ベースラインと比較し、3ヵ月後に減少が認められた(20.8±7.1→17.8±9.1、p=0.009)。
・層別分析では、頭痛頻度が毎日の患者では治療反応が認められなかったが、非毎日の患者における30%以上の治療反応率は、50%であった。
著者らは「エレヌマブ治療で効果不十分または継続しがたい副作用が認められた片頭痛患者において、他の抗CGRP抗体への切り替えが恩恵をもたらす可能性が示唆された。とくに頭痛頻度が非毎日の患者において、有望な治療オプションとなりうるであろう」としている。
(鷹野 敦夫)