妊娠中のコロナワクチン2回接種、乳児の入院61%予防効果/CDC

提供元:ケアネット

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公開日:2022/02/28

 

 母親が妊娠中にCOVID-19ワクチンを2回接種することで、生後6ヵ月未満の乳児の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染による入院を61%予防する効果があることが、米国の研究チームの調査で明らかになった。研究結果は、米疾病対策センター(CDC)のMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年2月15日号に掲載。

 これは米国の研究チームOvercoming COVID-19が、2021年7月1日~22年1月17日、米国17州20の小児病院において実施したケースコントロール研究である。生後6ヵ月未満の入院乳児379例が対象で、このうちCOVID-19による入院が176例(症例群)で、COVID-19以外による入院が203例(対照群)だった。乳児の母親は、妊娠中にファイザー製またはモデルナ製のコロナワクチンを2回接種完了と、未接種の2グループに分類。症例群で母親がワクチンを接種していたのは16%(28/176例)だったのに対し、対照群で母親がワクチンを接種していたのは32%(65/203例)だった。

 調査の結果、生後6ヵ月未満の乳児の新型コロナによる入院予防効果は、母親が妊娠中にワクチン2回接種完了で61%(95%信頼区間[CI]=31~78%)だった。このうち、妊娠初期(20週以前)に2回接種を完了した場合の効果は32%(95%CI=-43%~68%)だった(ただし、信頼区間が広いため慎重な解釈が必要)。妊娠後期(21週~出産14日前)では80%(95%CI=55~91%)だった。いずれにおいても、妊娠中のワクチン2回完了は、乳児の入院リスク低減と関連していることが示された。

 症例群の43例(24%)がICUに入院した。このうち25例(15%)は重症で、入院中に人工呼吸器、血管作動性物質、ECMOなどを導入し、1例が死亡した。また、ICU入院の43例のうち、88%は母親がワクチン未接種であった。ECMO導入例(1例)と死亡例(1例)の母親は、いずれもワクチン未接種であった。

 妊婦には3回目のブースター接種が推奨されているが、本研究はサンプル数が少ないため、その効果は不明だ。また今回の解析では、母親が妊娠前または妊娠中にSARS-CoV-2に感染していたかどうかを評価しておらず、それによって乳児が母体の抗体を得られたかもしれないことなどが、課題として挙げられており、妊娠前と妊娠中のワクチン接種のタイミングを比較検討する必要があるとしている。

(ケアネット 古賀 公子)

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