新型コロナウイルスへの複数回の感染により、死亡と後遺症リスクは2倍超、入院リスクは3倍超になることが、米国・VAセントルイス・ヘルスケアシステムのBenjamin Bowe氏らによるコホート研究で明らかになった。新型コロナウイルスの感染による死亡や後遺症のリスクは知られているが、1回感染後の再感染によってそれらのリスクが高くなるかどうかは不明であった。Nature Medicine誌2022年11月10日掲載の報告。
コロナ2回目以上の複数回感染群では後遺症発現のHRが2.10
調査は、2020年3月1日~2022年4月6日の米国退役軍人省の医療データベースを利用し、コロナ1回目感染者44万3,588例、コロナ2回目以上の複数回感染者4万947例(コロナ2回目感染者3万7,997例[92.8%]、コロナ3回目感染者2,572例[6.3%]、コロナ4回以上感染者378例[0.9%])、対照群として1回も感染していない未感染者533万4,729例を抽出し、死亡率、入院率、後遺症発現率を解析した。
コロナ複数回感染による死亡や後遺症のリスクを解析した主な結果は以下のとおり。
・コロナ1回目感染群と比較して、コロナ2回目以上の複数回感染群では、全死因死亡のハザード比(HR)は2.17(95%信頼区間[CI]:1.93~2.45)、入院のHRは3.32(95%CI:3.13~3.51)であった。
・同じく1つ以上の後遺症発現のHRは2.10(95%CI:2.04~2.16)で、腎障害(HR:3.55、95%CI:3.18~3.97)、肺障害(3.54、3.29~3.82)、血液凝固異常(3.10、2.77~3.47)、心血管障害(3.02、2.80~3.26)、消化器障害(2.48、2.35~2.62)、倦怠感(2.33、2.14~2.53)、精神的な不調(2.14、2.04~2.24)糖尿病(1.70、1.41~2.05)、筋骨格系障害(1.64、1.49~1.80)、神経学的障害(1.60、1.51~1.69)であった。これらは主に急性期に認められたが、コロナ再感染から6ヵ月後でも認められた。
・これらのリスクは、新型コロナウイルスワクチンの接種状況に関係なく認められた。
・コロナ感染回数が増えるほど後遺症リスクは上昇した。未感染群と比較して、コロナ1回目感染群のHRは1.37(95%CI:1.36~1.38)、コロナ2回目感染群のHRは2.07(95%CI:2.03~2.11)、コロナ3回目以上感染群のHRは2.35(95%CI:2.12~2.62)であった。
これらの結果より、同氏らは「新型コロナウイルスへの複数回感染は、初回の感染よりも死亡、入院、後遺症リスクが高まることが明らかになった。すでに1回感染した人は、コロナ2回目の感染を予防することでさらなる健康問題を防ぐことができる」とまとめた。
(ケアネット 森 幸子)